ポートフォリオは5社でいい

【堀江】いざ株式投資をはじめようとすると、日本に存在する上場企業の数が約4000社にものぼることに驚くかもしれない。そこから100社を選び、ポートフォリオを組もうとすると素人の手には負えない。世の中の99%の個人のポートフォリオは5社で十分だ。では、その5社はどうやって選べばいいのだろうか?

もしテクノロジー分野に興味があるなら、僕のオススメは中島聡さんのメルマガ「週刊Life is beautiful」を購読することだ。

もともと、中島さんはマイクロソフトでインターネットエクスプローラの開発に従事していた技術者だ。自身で立ち上げたベンチャー企業の売却経験だけでなく、現役のプログラマーでもある中島さんはテクノロジーとビジネスに対する造詣が深い。

彼のメルマガを読んでいると、なぜ中島さんがエヌビディアやテスラの株を買っているのかが、深い考察とともに記されている。実際、中島さんの投資ポートフォリオは高いパフォーマンスを上げており、信頼できる情報が得られる。難しいことを考えたくなければ、まずは中島さんのポートフォリオをウォッチしてみよう。

ここでは中島さんを具体例に挙げたが、自分が信頼できる情報ソースを5~10人ほど見つけ、その人たちのSNS、メルマガやnoteをフォローしてみるといいだろう。その情報を頼りに個別株に投資をすることで、「オルカン」(オールカントリー:全世界株式)に代表されるインデックスファンドよりもパフォーマンスがよくなると思う。

僕が実際に投資するなら、自分でゼロから株式を吟味するのではなく、信頼に足る人々の情報から投資先を決めるスタイルをとる。

10万円でも5社への分散投資は可能

【後藤】一般的に、「分散投資」は投資の基本的な考えかたですが、「実際どれほど分散させるべきか」は議論が分かれるところでしょう。年齢や資産によっても変わりますが、10~20銘柄に投資すれば、個人としては十分な分散ができる印象です。

ただし、投資できる資金が100万円という状況の場合、10社以上に投資をするのは難しいかもしれません。その場合は「5社」でも、ある程度の分散効果は得られると思います。

それが20社、30社へと増えれば、日経平均やTOPIXと近い値動きになっていくでしょう。

日本企業への株式投資は投資信託と比べてまとまったお金が必要なことが多いですが、実は米国株は1株単位から投資をすることができます。そのため、たとえば話題のエヌビディア株も1株1万8000円程度で買うことができます(図表2)。つまり、10万円程度の投資資金でも5銘柄程度のポートフォリオを組むことは現実的なのです。ただし手数料がかさむこともあるので気をつけてください。

今後、日本株においても同様の流れが広まっていくでしょう。東京証券取引所は、売買の最低単位を100株から1株に引き下げるといった、少額でも投資しやすい環境の整備を検討しています。また、最近は日本株取引の「手数料無料化」の流れが強まっています。

たとえば「3000円で1株買って、手数料もゼロ」なら、原資が10万円でもいろいろな銘柄に分散することが手軽にできるようになるわけです。