「親が老いても子どもの頃のことを許せない」と悩まなくていい

ただ、それは人格が変わったから許せるようになったのであって、その許しには「あの親がここまで弱ったのか」というやるせない思いが伴うもの。それならまだいいほうで、認知症になっても許せないままの人もいますから、親子関係って簡単ではないですね。

上野千鶴子『マイナーノートで』(NHK出版)

父との関係を通して、私は「親って反省しない生き物だな」とつくづく思いました。「ありがとう」は言っても、「ごめんなさい」はまず言わない。認知症になっても言わないと思いますよ。だって過去を覚えていないもの(笑)。

今回は父についてさんざん愚痴りましたが、まあでも、こうやって思い出話をするのも供養かなと思います。

マイナーノートで』にはこうした、めったに他人に言わないようなことをたくさんつづりました。次作はどうでしょう、自分が要介護になったらまた何か書きたくなるかもしれません。介護される側が書いたものってないですから、『要介護のベッドから』なんてエッセイもいいかもしれませんね。

(構成=辻村洋子)
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