海外と日本では寄付に対する考え方が違う
とくに欧米では寄付文化が広く根付いています。その理由には、歴史的、社会的、文化的な要因が大きく影響しています。
欧米では、特にキリスト教の影響が寄付文化の大きな背景となっています。成功した企業家や富裕層が社会に還元するという価値観が強く、成功者が社会貢献を行うことが尊敬される行動と見なされます。
特にアメリカでは、慈善活動を通じて自分の名を残すことが富裕層にとって一種のステータスです。最近は日本でも、東日本大震災をはじめとするさまざまな場面で、多くの芸能人や起業家が寄付活動に取り組んでいます。
しかし、日本では謙虚さや控えめな態度が美徳とされているため、富裕層が自分の社会貢献活動を公にすることが少なく、寄付文化が目立ちにくい側面があります。また、寄付を匿名で行うことが好まれる傾向もあるため、個人の寄付行動が社会全体に認知されにくいところがあります。
そのため、寄付の文化が根付きにくい面があると感じます。2022年4月から高校の授業で資産形成科目が必修化されたことや2024年にスタートした新NISAブームもあり、投資への関心が高まっています。欧米のような投資、貯蓄、お金の使い方、寄付をトータルにバランス良く学ぶことも必要でしょう。
見返りを求めない寄付文化が社会全体の豊かさを育む一助になる
本当のお金持ちは、起業して雇用を生み、社会貢献を通じてお金を循環させる役割を果たしています。富裕層の中にはお金の使い方に厳しい面がある方もいますが、本当のお金持ちは、「見えない価値」を大切にしています。
私たちは「収入」や「資産」といった目に見える価値にとらわれがちですが、それ以上に、その資産がどのように管理され、増やし、次世代へと受け継がれるかが、真の豊かさを測る鍵となります。寄付額の多さではなく社会の発展のために資産を活用できる人が本当のお金持ちです。
最近では、ふるさと納税やクラウドファンディングを通じて、応援や寄付という行為が少しずつ浸透しつつあります。日本では、歴史的にも社会的にも寄付が根付くのが遅れていると考えられていますが、グローバルな影響や新しい社会意識の高まりを受けて、寄付文化が徐々に広がりつつある兆しが見え始めています。
成功した人が次々と寄付をすることで、大学の研究レベルの向上に貢献するでしょう。とくに理系分野では研究にかかるコスト増大が課題になっています。寄付は単なる経済的な支援にとどまらず、次世代の育成や社会貢献を通じて「どのような未来を作りたいか」を形にする手段でもあります。