企業とそこで働く人がいったい何を望み、欲しているのか

会社を潰すコンサルの特徴②
コミュニケーション力に問題があり、場の空気を読めない

コンサルタントは学歴的、経歴的に優秀な人が多いが、中には頭でっかちな人物もいたりする。彼らに共通するのが、コミュニケーションをないがしろにして、自分のコンサル理論にこだわることだ。

かつて私の部下に、東大で宇宙物理学の研究をしていた非常に頭のいいコンサルタントがいたが、プレゼンをさせたら途中からどんどん自分の世界に入り込んで、何を言っているか周囲からしたら全然わからない。

ところが本人は、そんな空気も読むことができないから、延々と話を続けてしまい、上司の私としてはその後何とか場を持ち直すのに苦労したことがある。

コミュニケーションがうまくできないということは、相手をよく見ていないということだ。相手が見えなければ、本来のコンサルタントとしての仕事はできなくなる。

コンサルタントがどんなに優秀な人物であろうとも、企業から雇われた存在であることは変わらない。仕事を与えてくれた企業と、その中で働く人たちが、いったい何を望み、欲しているのかを見極めるのが、コンサルタントとしての第一歩である。

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それにはまず、日常の会話ができなければならない。個別の面談や聞き取り調査などでも、相手の気持ちをほぐしながら、いかに本音を聞き出すかが勝負になってくる。

その意味で、コンサルタントに求められているのは「コミュニケーション力」だと言える。コミュニケーションが下手で、独りよがりなコンサルタントは、どんなに頭脳が優秀だろうが、よい結果をもたらさないコンサルタントということになる。

一流コンサルは「教えてもらう」姿勢が強い

会社を潰すコンサルの特徴③
上から目線で教えることがコンサルティングだと考えている

ダメなコンサルタントほど、上から目線で「教える」という姿勢が目立つ。

そもそも教えるというのは、自分が持っている知識や情報を相手に伝えるということだ。それはすでにでき上がっている理論や公式であって、そのコンサルタントのオリジナルのものではないことがほとんどである。

私が定義するコンサルティングの仕事の本質とは、「何が問題かを突き止め、その問題解決のための答えを考える」ということだ。経営理論の知識を教えるだけなら、勉強した人なら誰でもできる。専門書や解説書を読めば、知識を身につけることはできるだろう。

しかし、会社の課題や問題点がどこにあるかを見極め、解決の答えを見つけるためには、「自分の頭で考える」という作業が必要不可欠である。

「考える」ということに対して特殊な能力を持った者が、本物のコンサルタントだと考えている。そこに、コンサルタントのオリジナリティやクリエイティビティがあるということだ。

企業の問題点がどこにあるかを考えるためには、クライアント企業の情報をたくさん集めなければならない。だから一流のコンサルタントは「教える」というよりも、むしろ「教えてもらう」という姿勢の方が自然に強くなるものだ。

「教える」という態度は、日本の学校教育のスタイルそのものだ。教科書に書かれていることを、お題目を唱えるように教師が学生に「教える」。ただし、そこには「考える」というクリエイティブな要素は微塵もない。

もちろん、小学校から中学校くらいまでは、基礎教養として知識をしっかり身につけるべきだ。ただし、高校、大学となったら、知識よりも考える方の授業に比重を移していくべきだろう。

ところが日本では最終学府である大学までもが、もっぱら知識を身につける勉強に専念している。これでは高等教育を受けたとしても、日本人は自分の頭で考えることがうまくできない、ということになってしまうのである。