東京エレクトロン社長の言葉にしびれた
同社の河合利樹社長は、日本経済新聞のインタビュー記事「半導体投資、国に頼るな」の中で、「国は直近3年で半導体の関連予算を約4兆円確保した。国の支援がなければ世界屈指の競争力を取り戻すという目標は達成できないのか」との質問に対して、「半導体の重要性が再認識され、政府が支援をすることは業界の一員として非常にありがたい」としながらも、つぎのように述べている(日本経済新聞「半導体投資、国に頼るな 東京エレクトロン社長の戦略」2024年3月30日)。
「企業は持続的な成長が求められていて、国の支援頼みにならないように戦略を考えていく必要がある」「企業が成長するには、利益が必要」。そして、「そのために、世界をリードする技術力、継続的に成長投資を図ること、実現に必要な人材」の3点が重要だとしている。
立場上、「国の支援が不要」とは言えないだろうが、「成長のために利益が必要」との答えから、真意は明らかだ。
「利益のために、技術と投資と人材が必要」という答えを見て、私は驚いてしまった。これは、経済成長理論の教科書に書いてあること、そのものではないか!
そして、私が飽きもせずに繰り返し、実務家から「現実知らずの書生論」と馬鹿にされている答え、そのものではないか!
教科書どおりの答えを経営者から聞くことができたのは、1962年の特振法に対する石坂発言以来、62年ぶりのことだった。