筑波大学附属高校入学は「裏口入学」といえるのか

赤門ネットワークのオンライン署名では、署名を集めるに至った経緯や理由が長文で綴られ、署名を呼びかけている。おそらく文章を書いた人は、アカデミアの近くにいるひとだろうとは、私も一読して思った。

その文章で赤門ネットワークは、象徴天皇制は国民から天皇への尊敬の念、それに相応しい天皇の徳の双方が必要であるとして、それを掘り崩すことがあってはならないと主張する。そして、悠仁さまが筑波大学附属高校に入学したことについては「要するに、ロイヤルパワーを使った裏口入学である」と断じ、「万一悠仁親王が東京大学を学校推薦型選抜で受験する場合には、悠仁親王が将来天皇となられるお方だということへの顧慮は一切抜きに、あくまでも公平公正に選抜すること」を要望するのである。

悠仁さまが、提携校制度を使って筑波大附属高校に入学した経緯を「裏口入学」とするのは、いいすぎであろう。確かに、提携校制度は悠仁さまのために作られたのかもしれないが、あくまでも正規に存在する制度を利用して入学したのであるから裏口とはいえない。しかし、国民に「裏口」に近い経緯で入学したという印象を与えているとしたら、悠仁さまにとっても望ましいことではないだろうとも思う。

東大を受ければ合格するだろう

署名を呼び掛ける文章の中で、赤門ネットワークは「公正公平な選抜」を求めている。大学教員としては、多くの週刊誌が報じている通り、「公平公正な選抜」をしたとしても、悠仁さまを不合格にはできないだろうと感じる。

赤門ネットワークも書いている通り、いまの時点で自分が筆頭著者の論文を持っている高校生など、他にはめったにいないだろうからだ。また悠仁さまは、親王としての国際的な経験をされていると思うが、そのような高校生も他にはいない。悠仁さまの置かれている状況が、人一倍恵まれていることは事実ではあるが、その結果として悠仁さまが持っている学問的成果や、国際的な経験については、誰一人否定することはできないのではないかと思われる。

東大に合格するには、大学入学共通テストで8割の得点をすることが求められるが、これもまた簡単なことではない。ただ、過去に8割に届かなかった学生が入学しているとしたら、「共通テストで8割得点できなかったのに入学できた」ことをもって、「特別扱い」ということはできないだろう。

実際、もし悠仁さまが東大を受けて不合格になった場合、その根拠を責任をもって説明できる大学教員はいるのだろうか。署名の呼びかけ人がいうように、もし論文に瑕疵かしがあったとしても、まったく瑕疵のないレベルの高い水準の論文を高校生に求めるべきなのかという批判もあがるだろう。

というわけで、「公正公平」に判断したとしても、おそらく悠仁さまは東大を受けさえすれば合格するはずだと私は考えている。

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