「円安株高」政策を失速させるような転換は難しい

大暴落後の8月7日、函館で講演した日銀の内田眞一副総裁は次のように述べた。

「わが国の場合、一定のペースで利上げをしないと、ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手にまわる)に陥ってしまうような状況ではない。したがって、金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」
「最近の内外の金融資本市場の動きは極めて急激なので、極めて高い緊張感をもって注視し、政策運営において適切に対応していく。当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要があると考えている」

つまり、株価の大暴落を受けて、利上げには慎重姿勢を取ることを表明したのである。政策金利をわずか0.25%にするだけで、株価が2日で6667円を下げる事態に直面して、日銀は利上げに尻込みすることになるだろう。自民党の支持者には株式を資産として保有する人が多く、株価が下落すると支援者から自民党議員に抗議の声が集まってくる。これまでの「円安株高」政策を失速させるような政策転換は難しいだろう。

そんな中で、岸田首相が9月の自民党総裁選に出馬せず、首相を辞任することを表明した。果たして、ポスト岸田は誰になるのか。そして次の首相がどんな経済政策を取るのか。日本経済の先行きを考えれば、金利を上げて、経済を正常化していくことが重要だが、一方で株価が大きく下がるのが分かっていてそこに踏み出せるのか。次の首相が背負う荷は重い。

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