背骨で支えられないから「コリ」が生まれる

では、どうすればいいのか。骨盤を回転させればいいのです。骨盤を回転させて、背骨を押し上げれば、「S字の背骨」は少し中心方向に、つまり前に移動します。

奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)

反対に、猫背の人は背骨がどんどん後ろ側に出ていきます。ただでさえ後ろにあった背骨が、より後ろに移動してしまう。これはとても不安定な状態で、建物ならいつ屋根が落ちてもおかしくありません。柱が外側に1本しかない状態では、補強をしたくなります。これが「コリ」です。人体では頭が落ちてくるし、腕も落ちてくる。これを落とさないように、首や肩がかたくなって踏ん張るのです。

そんな状態でも、私たちはあれこれ動き回らなければなりません。建物で言うなら、柱が外側に1本しかない状態なのに、そこに地震や台風が来るようなものです。思わず補強をさらに増やしたくなるでしょう。それに柱自体がどんどん傷みます。人間で言うと、背骨が痛んだり、動かなくなったりします。しっかりした柱になったうえで、時には動いて体を補助していく。

そんな理想の背骨にするには、普段から背骨を体の中心に置くことが重要です。そのためには、背骨をしっかりと上と下からつぶすことです。

骨盤が定まれば、全自動で姿勢が良くなる

柱を体の中心に置くと、その柱に真っ直ぐ力がかかります。もし柱の位置がズレると、柱を折ろうとするよけいな力がかかります。建物の柱なら、強度の限界が来たときに折れるだけですが、人体の場合は、背骨を守ろうとして周囲の筋肉がかたくなり、背骨が動かなくなっていきます。

すると、特に「胸椎きょうつい」を動かすことを忘れていきます。それはもう、背骨の機能を一つ失ったのと同じです。これらは知らず知らずに進行しますので、柱は柱として適切な位置に置いておくことが本当に重要になります。

逆に言うと、柱を適切な位置に置いておけば、それこそ「全自動」でよいことが勝手に起こってくるのです。よけいな補強も必要ありません。そしてこれらを実現する出発点は、「骨盤の回転」だと思い出してください。

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