スポーツは「ただ楽しむ」ものでも「苦しむ」ものでもない
日本代表として世界と戦う今も、いいプレーができたときは嬉しいし、できなかったことがどんどんできるようになる成長の過程を味わえることは、何よりの楽しみだ。
そしてプロである以上、当然、結果も求められる立場で、結果こそが僕たちを評価するものであるということもよく理解している。
バレーボールに限らず、最近はスポーツを「楽しむ」という風潮がとても強い。
それはいいことだけれど、ただ楽しく、遊びの感覚でやっているだけで、結果が得られる簡単な世界ではない。
もちろん、だからといって「勝つためには苦しまなければダメだ」というのも違う。
大切なのは、自分がどんな結果を求めて今がんばっているのか、その結果を得るために、どんな努力をするべきなのかを意識することだ。
なりたい自分、将来をイメージしながら試合や練習をすれば、うまくいかなくて苦しいことも、乗り越えてできるようになり、必ず楽しくなる。
好きなことが仕事になって、毎日毎日、時間とエネルギーを費やして取り組むことができるのは本当に幸せなことだ。
でも、だからこそ、この幸せな環境に満足することなく、もっともっと目指している頂に向けて登り詰めていきたい。
まだまだ今は、その道の途中だ。
パリ五輪後の人生設計
夏のパリオリンピックが終われば、12月には29歳になる。
年齢を意識することはそれほどないけれど、周りからは人生設計について聞かれることも多くある。
そのたびに僕はそれなりに答えを返すけれど、正直にいうと先のことはほとんど考えていない。
なぜなら、現役をいかに長く続けられるかということしか、今は頭にないからだ。
選手生活が終わったあと、どんな人生を送るのか、何をするかということは、まったくといってもいいほど考えていないというのが紛れもない本心だ。
それで大丈夫かと思う人もいるかもしれない。でも僕は大丈夫だ。
なぜなら、本気になれば何とかなる、何でもできると思っている人間だからだ。
もちろん、現役選手として試合や練習に向けて準備をするように、何をするにしてもそのための準備は必要だ。
でも今は、まだ見えない。
バレーボール選手を終えたあとの将来に向けての準備よりも、バレーボール選手として成し遂げたいことに向けた準備をするだけで精いっぱいだ。
どこまで現役選手を続けられるのか。35歳になったらどうなるか。さすがに40歳まではやっていないかな、とたまに考えることもあるけれど、先のことはわからない。
毎シーズン、毎日ベストを尽くして、その結果がどこまで続いていくのか。