トモダチ・トラベル

白岩春奈さん(福島県立平商業高1年生)。

400人のHIS社員の前での、「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」参加者8名によるいわき市のアピール。その原型は「TOMOTRA」(トモトラ)と名づけられた事業アイデアだ。

旅行ビジネスを興して、東北に、いわきに人を呼びたい——高校1年生がこのビジネスプランを考えた。白岩春奈(しらいわ・はるな)さんは福島県立平商業高等学校商業科1年生。彼女のこのアイデアを初めて聞いたのは、昨年8月、連載第14回《http://president.jp/articles/-/8064》にも記した、東京・銀座のアップルストア銀座店で行われた「東北の高校生が未来を語る」というイベントだった。

「TOMODACHI~」参加者のうち6名が壇上に立ち、合州国の3週間で仲間と一緒に考えた被災地の復興策をプレゼンした。白岩さんは、「TOMODACHI~」に参加した高校生たちと一緒に海外からの観光客を集めるための観光ガイド「TOMOTRA(トモダチ・トラベルの略称)」をつくり、被災地各地でのガイド業を興すことを提案した。

白岩さん、HIS社員の前で話した内容も、銀座で話した「TOMOTRA」と同じ内容なんですか。

「当初のTOMOTRAの方針とは少し異なりますが、プレゼンの日まで時間がなかったということもあって、HISの社員の方々にいわきの魅力をフリートークのような形でプレゼンしました。まずは社員の方々にいわきについて知ってもらい、来てもらおうという狙いです」

さて、白岩さんは将来何屋さんになりたいですか。

「わたしは、小学校や中学生を対象にして、学校ではできないような教育を支援できるようなNPOとかNGOの団体に入りたいです。この前、『ヤングアメリカンズ』っていうのを体験してきたんです。アメリカ人やほかの国の若い人たちと一緒にダンスや歌を歌ったりして、いろんなワークショップを行うんですけど。そういうのって、ぜったい小学校や中学校とかでできないと思って。小学校、中学校で引き出せないものが、そういうところから見つけ出せると思うんです。わたし、自分でそれが出せたので、ほかの子にも出させてあげたいって思ったんです」

ヤングアメリカンズは音楽公演と教育活動を行う合州国の非営利団体。17~25歳を主体とする300名で構成されている。設立は1962(昭和37)年。1993(平成5)年からは、音楽やダンスのワークショップを小・中・高校生に対して行い、一緒にショウのかたちにまでつくりあげる「アウトリーチ」と名づけた教育プログラムを開始。2006(平成18)年に初めて来日し、震災後は、2012(平成24)年から3年間継続して、東北の公立中学校を中心に回るツアーを始めている。

ヤングアメリカンズ体験の高揚を、一所懸命こちらに伝えようとする白岩さんの思いを、こちらは取材時にじゅうぶん理解できていなかった。だが、取材後にメールで白岩さんに「部活は何ですか」と訊いたことで、ひとつ謎が解けた。

(明日に続く)

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