魅力的な相手がいないうえに、独身でも困らない社会になった

【権丈】面白いデータですね。女性がなぜ自分より年収や学歴が高い人を選ぶのかという問題ですね。

結婚にあたっては男女ともに魅力的なパートナーを選ぼうとします。その魅力ですが、多くは将来性、経済力といったところでしょうか。この場合、学歴というのがそれらを示す代理指標になり得ます。いま流にいうと家事ができることも付け加えておくべきでしょう。趣味や価値観が合って一緒にいて楽しいことも重要です。自分のことを尊重してくれることも必須になります。稼ぐ能力は高くても、稼いだお金を全部自分で使ってしまうような人は当てはまらないですよね。

これらをクリアする魅力的な配偶者を見つけようとしてもなかなか見つからない。それどころか、昔と比べ、社会の仕組みや風潮が、独身でいても困らないように大きく変わっています。お金は自分で稼げるし、家事も家電製品が普及し軽労働化しているし、業者にお金を払って頼むこともできる。町に出れば手頃な値段で外食できますし、コンビニをはじめ、1人暮らし向けの弁当や総菜が揃っているお店がたくさんあります。男女ともに、昔ほど「結婚しなさい」という親や周囲の人からのプレッシャーも強くありません。独身生活を続けても差し当たり困らない。

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男女ともに結婚の魅力は低下している

【権丈】ここ数十年の間に女性にとってのワークの魅力は高まったのに、要は個人にとって結婚というライフイベントの魅力が以前より低下しているわけです。今は、結婚や子どもをもつことの魅力、ワーク・ライフ・バランスにおけるライフの魅力をいかに高めていくかが重要になっています。結婚のパートナー探しも大変ですよね。自分にぴったりの魅力的なパートナーを探すのには時間もかかりますし、ある程度付き合って確かめる必要もあります。マッチングアプリの普及はそうしたパートナーの探索コストを下げます。私たちの時代には想像もできなかったのですが、今はかなり利用されていますね。もっと普及するのではないでしょうか。