嫌われる覚悟がなければ政権交代はできない

支持率低下に苦しむ岸田内閣。自民党王国の島根1区をはじめ3選挙区で全敗の結果にも、岸田首相に取って代わろうという岸田降ろしの動きは表面化していない。

解散しないことが最大の武器という倒錯した状況で生き残りを図る岸田首相。だが野党側も相変わらず、独自色にこだわり、まとまって自公政権を倒そうという機運にはなっていない。

インタビューは3補選の前だったが、小沢はこの閉塞状況を予感していたように、最後の戦いだからこそ失敗はできないと繰り返した。

――今の自民党には、かつて存在した、どんな手を使ってでも権力にしがみつくエネルギーすらなくなっているように見えます。一方の野党には政権を奪う気迫が感じられません。

情けないよね。だけど、もう2回も失敗しているのだから、今度は絶対に失敗しないようにしなければならない。

かつての自民党のリーダーたちには何がしかの自分自身の理念、哲学があった。ところが今の自民党にはそれもない。自民党自体がもう、どうしようもない。

しかし、それ以上にどうしようもないのが今の野党だと思います。権力闘争をする意思も意欲も何にもない。むしろ権力闘争を避けている。そんなことやめよう。丸く、丸く、と言うんです。こうした野党の現状を変えていくことが今の日本の政治に欠かせません。

撮影=遠藤素子
野党政治家に足りないものは「嫌われる覚悟」と指摘した。

壊さなければ、新しいものは生まれない

――小沢さんは「壊し屋」とか「権力闘争の人」と言われてきた。その異名についてはどう感じていますか。

それはマスコミの不勉強。壊さなければ新しいものは生まれないでしょう(笑)。

それに権力闘争が、何か悪いことのように言われるんですが、決して悪いことではない。政権交代は権力闘争そのものなんです。今の政治家はみんなそういうものに弱い。「権力闘争の何が悪いんだ」と言えないんですね。

何か言われると、みんな「そうですね、そうですね」ってなっちゃう。だけど、だんだん世の中も変わってきてます。少しずつだけど、もう少し早く変わってくれないかとも思うんですが、僕をよく批判していた連中だって、徐々に変わってきています。

今度は、野党をきちっとまとめますよ。腹の中ではみんな「このままじゃダメだ」と思っている。まだいい子ちゃんでいたいから、言い出せないんです。困ったもんですね。