ひとりになったら鍋やフライパンのサイズを見直す
地域の高齢者の家を回って患者さんのお世話をしている訪問看護師の話によると、高齢者のお宅はどこの家でも、たいてい大きな鍋が置いてあるそうです。
家事のベテランの主婦ほど、いちいち分量を量ったりせず、長年の経験で身につけた目分量、手分量で調理するでしょう。鍋が大きいと、目分量、手分量も自然と多めになり、その結果、ひとりにしては作りすぎになりがちです。
そうしたことを避けるためにも、ひとりになったら、小さいサイズの鍋やフライパンにきちんと買い替えることをおすすめします。それなりの出費にはなりますが、これが「腹八分目」につながることを思えば、けっして“高い買い物”ではないでしょう。
大きな鍋は、子供の家族などが遊びにくるときなどに備えて1、2個残して、あとは潔く処分してしまいましょう。
年をとったら、味噌汁などを作るときにも、面倒くさがらずにひとり分を量って作るように心がけたいものです。
「多めに作って温め直して飲めばいい」という人もいるかもしれませんが、味噌汁は温め直せば味が落ちます。捨てるのはもったいないからといって何杯もお代わりすると、塩分の摂りすぎになり、高齢者の健康にはマイナスになります。
腹七分、腹六分の食事は、多少手間がかかっても、適量を作っていちばんおいしいタイミングで味わう習慣を心がけることから生まれるのです。
開閉を頻繁にすると食べ物が腐敗しやすい
最近は巨大な冷蔵庫を備えている家が少なくないようです。当然、中身もぎっしりと詰まっているのでしょう。
ひとりになっても、家族がいたときの習慣が抜けないようで、お昼過ぎになるとなんとなく商店街をぶらりと歩き、スーパーにも立ち寄ります。帰りは、せっかくきたのだからと、手には必ず何かがぶらさがっています。
他人事ながら、さらに増えた冷蔵庫のストック食品はどうするのだろう? 生活費だってよけいに出ていくだろうし、と気になってしまいます。
冷蔵庫に入れておけば2、3日は大丈夫。そんな過信があるのかもしれませんが、基本的には食品は買ってきたときがいちばん鮮度が高く、味もいいのです。
「まだ大丈夫のはず」が大丈夫ではなく、取り出した食品がカビていた、腐っていたという経験は誰にでもあるでしょう。
冷蔵庫の中は、意外と腐敗しやすい環境になってしまっていることが多いのです。
冷蔵庫の中の温度は平均1~5度くらい。とはいっても、扉を開けるたびに冷気が逃げ、同時に温かい空気が入り込みますから、そのたびに一気に7~8度まで上がってしまうことも珍しくないようです。
この7~8度という温度は、雑菌の繁殖が始まる温度でもあります。冷蔵庫に入れておいたのに、想像以上に早く腐敗していて驚くのは、たぶん開閉を頻繁にした結果でしょう。