当局はネットワークを壊滅したと発表しているが、動画広告と現地のエージェントさえあれば、兵士採用はいつでも再開できる。ウクライナ戦争が続く限り、ロシアは新たなエージェントを雇う可能性があるだろう。
兵士確保のためならロシアは手段を選ばない
ウクライナへと領土を広げたいロシアは、なりふり構わない行動に出ている。30万人を超えるともいわれる自軍の死者数を補うため、これまでは国内の徴兵や兵士採用の強化を行ってきた。ついにその手は、南アジアへと伸びることになった。現在はインドやネパールなどを中心に誘い込んでいるようだが、同じアジアに位置する日本として、不快な印象は拭えない。
日本の給与所得者の平均年収は、国税庁によると458万円(令和4年)となっており、まだまだ南アジアの国々より高い水準にある。だが、円安が進行し非正規雇用も広がるいま、ロシアでの“食料配達”の仕事に魅力を感じる日本の若者が出ないとも限らない。ソーシャルメディアの動画は、好むと好まざるにかかわらず、国境を越えて伝播する。考えたくもないが、他人事と言い切れない現実がそこにはある。
ロシアによるウクライナ侵攻は、物流の混乱や物価高をはじめとし、数え切れない混乱を世界にもたらした。人命という最も尊い存在を他国民から奪うことのないよう、欺瞞に満ちた戦地への誘導行為を許してはならない。