世界中の優秀な人材が力を発揮している
このように各大学が切磋琢磨しレベルアップしていった結果、アメリカは、大学に集まってきた外国の人材を自国のために取り込んで活用するという、世界で稀有な仕掛けを持つようになりました。
THE World University Rankings 2024 by Times Highre Educationより
THE世界大学ランキング2024
順位 大学名 国
1位オックスフォード大学 イギリス
2位スタンフォード大学 アメリカ
3位マサチューセッツ工科大学 アメリカ
4位ハーバード大学 アメリカ
5位ケンブリッジ大学 イギリス
6位プリンストン大学 アメリカ
7位カリフォルニア工科大学 アメリカ
8位インペリアル・カレッジ・ロンドン イギリス
9位カリフォルニア大学バークレー校 アメリカ
10位イェール大学 アメリカ
日本をはじめ他の国々では基本的に自国の人材だけしか使えないのに対して、アメリカは大学の強さを武器として、世界中の優秀な人材を使うことができます。アメリカに優秀な人材が多いのではなく、アメリカが取り込んだ外国人に優秀な人材が豊富なのです。
シリコンバレーでスタートアップを起業する人の半分以上は外国人であり、本書でも取り上げたヤフーのジェリー・ヤンやAMDのリサ・スーなどの台湾人や華僑、インド人、ベトナム人、東欧、ロシア、韓国などからの人材は、アメリカの主要大学に学び、その後、起業するというのが典型的なパターンとなっています。
研究費が増え、スタートアップが増える好循環
イノベーションを生むエコシステムの中での大学の機能が重要なことは、数々の研究や著作によって明らかになっています。
シリコンバレーのエコシステムでスタンフォード大学と並んで大きな役割を有する、U・C・バークレーでは、アクセラレーションプログラムが2012年に設立され、スタートアップを量産し、インキュベーターとしての設備、メンタリング・コーチング、プロトタイピング用ラボなどの機能を持っています。
アントレプレナーシップ専門の教育組織は2005年に設立され、バークレーメソッドという国際的に認知されている教育アプローチを開発、学部生から社会人までを対象にアントレプレナーシップを教育する18のコースを有しています。
イノベーション・エコシステムの中核機能を大学が果たすようになったため、アメリカの大学の財務基盤はここ10年ほどで極めて強固なものになりました。研究費の総額は増え続けており、2020年度は830億ドル=約12兆円。大学発スタートアップも研究費の伸びに歩調を合わせて増加し続けています。