旧車ならではと思わせてくれるスピードメーター。伊藤さんのシーマは、1988年に3桁化された「分類番号」も2桁のまま。いまや長期所有の証だ

でも、どんなに大切に扱っても、いつかは傷がつくし壊れるものです。さすがに30年たつと「塗装がまだらになってきたなぁー」って感じ始めて、だんだん気になるようになっちゃって。

そこで、全塗装してもらおうと思ってディーラーの方に相談したら、100万円ほどかかることが判明して迷いました。日産さんにお願いすると、全部ドアを外して、見えない部分も、塗装がはがれているところはやり直してくれるそうです。塗装が古くなってるってことは、エンジンやその他のパーツもガタがきているだろうと考え、遅かれ早かれ修理しなくてはならない部分が出てくるのは目に見えていました。あと2年か3年乗ったら買い替えになるだろうと予想してましたが、もう少し乗ってみて、それから考えようと思いました。

新しく買う車を探し始めてみると、欲しい車がないんです。セダンが欲しかったんですが、最近の車は馬力も上がったし、環境にも優しくなっているんだろうけど、丸っこい車体が多く、私の好みではありませんでした。セダンはやっぱりある程度カクカクしてたほうがそれっぽいなって。

そんなこんなで結局気が付いてみれば、30年も乗り続けることになりました。もちろん、それはシーマが気に入っていたからというのが一番の理由でもあります。

ちょうど30年目の点検をお願いしている時に、神奈川日産 宮前店さんに、お花をいただいたんです。「長いこと大切に乗っていただいてありがとうございます」というメッセージが添えてありました。それをボンネットに載せて、「30年たちました」ってブログに載せたら、それが反響を呼んで、いきなりすごいことになっちゃって。日産さんにもあらゆるところから連絡が来たらしく、「こんなに大切に乗っているんだから、レストアしてあげたら」って。

ブログに載せて、半年もたたないうちに、日産さんから連絡が来ました。その前に、町工場みたいなところで、安い値段でやってくれるって話もあって、そちらにお願いしていたところに、日産さんからの驚きの連絡。フルレストアでやってくれるって言っていただいて、「じゃあお願いしよう」ということになったんです。