食塩摂取は大幅に過剰になってしまう
しかし、ナトリウムは大幅に過剰摂取してしまうことになる。ナトリウムは食品中では、ほとんど塩化ナトリウム、つまり食塩の形で含まれている。食塩の量は、ナトリウムの量に係数2.54をかけると算出できる。
チーズバーガー7個分のナトリウムは5040mg、これを食塩に換算すると12.80g。日本人の食塩摂取推奨値は、理想的には、1.5g(600ミリグラム×2.54)、高血圧予防のためには、6g未満が推奨されている。
つまり、カップラーメンやハンバーガーだけを食べていると、カロリーやカルシウム、鉄は充足するものの、食塩摂取は大幅に過剰になってしまうのだ。
では、ビタミン類は、どうだろうか。
チーズバーガー1個には、ビタミンA 57μg、ビタミンB1 0.1mg、ビタミンB2 0.15mg、ナイアシン 5.3mg、ビタミンC 1mgが含まれている。7個食べると、この7倍、ビタミンA 413μg、ビタミンB1 0.7mg、ビタミンB2 0.112mg、ナイアシン 37.1mg、ビタミンC 7mgとなる。
日本人の一日のビタミン摂取基準量(50歳)は、ビタミンAは男900μg、女700μg、ビタミンB1は男1.3mg、女1.1mg、ビタミンB2は男1.5mg、女1.2mg、ナイアシンは男14mg、女11mg、ビタミンCは男女ともに100mgとされている。
食べ続けても、急に病気にはならないが…
この数字からわかるように、ナイアシン以外は、どれも基準量に満たない。もしチーズバーガーだけで、ビタミンCを取ろうとすると、基準量に達するには100個食べなければならないことになる。オーバーカロリー、オーバー食塩になってしまう。
この計算をカップラーメンで行うと同じような結果が出る。
もちろん、摂取基準量は安全率が掛けてあるので、基準を下回ったからといって、すぐに脚気や壊血病などのビタミン欠乏症状が出ることはない。
とはいえ、これらの人気ファストフードは、人々の嗜好を刺激し、インパクトのある濃い味付けになっている(つまり塩味が強い)ので、その場の食欲を満たすことはできても、栄養面で見ると極めてバランスのわるい食品といえる。
カップラーメンやハンバーガーだけを食べ続けても、急に病気になったり、栄養失調になったり、あるいは生命に危険が及ぶことはない。一方で、このような食材を食べ続けることは、生命の〈動的平衡〉を乱すことになるだろう。