「50歳以降」男性の生存率は低下する

令和4年の厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳で、男女共に世界的に見ても高い水準にいます。また、世界共通で女性が男性よりも長寿であることもわかっています(厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」2023年7月28日)

ではなぜ女性の方が長生きするのでしょうか。統計データで調べると、実は50歳までは男女の生存率はあまり変わりません。ところが50歳以降、男性の生存率が下がります。50歳前後から何らかの異変が起きる男性が増えはじめることが男性寿命の急降下に繋がっていると推測されます。その「異変」に、男性ホルモンの低下によるLOH症候群が関係しているのではないかと考えられています。

男性ホルモンの低下には個人差があり、数値が高い方は高齢でも元気な方が多い傾向にあります。なお、男性ホルモンは女性にも存在し、高齢でもお元気な方は男女共に男性ホルモンの一種であるDHEA数値が高いとされており、男性ホルモン=元気ホルモンとの考え方も広まってきています〔熊本悦明「健康長寿医学としての男性医学」国際抗老化再生医療学会雑誌、第2巻(1~10)2019〕

厚労省の調査では「50代の20%」が重度・中程度のLOH症候群

近年ではテストステロンの低下が、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病、うつ病などのリスクを高めることもわかってきました。QOLの高い生活を送るためにも、テストステロンの低下を防ぐことが大切です。テストステロンの分泌量を増やすのに有効とされる3つのポイントをご紹介します。

■食事

テストステロンの主原料はコレステロールです。特に摂取するとよいといわれるのがニンニクやタマネギで、これらに含まれる含硫アミノ酸がテストステロンの産生を上げる働きがあります。また、ニンニクはタンパク質と一緒に摂ることでより効果が発揮されます。

写真=iStock.com/Stefan Tomic
※写真はイメージです
■睡眠

男性ホルモンは睡眠中の副交感神経が優位のときに分泌量が増えるため、睡眠不足になるとテストステロンが低下しやすい状態となります。起床後に日光を浴びる、寝る前にPCやスマホを触らないなど、睡眠環境を整える工夫をしてみましょう。

■運動

運動や筋トレをすることはテストステロンの産生を促します。基礎体力の向上や糖代謝の改善などさまざまなメリットもあるため、普段運動の習慣がない方もスクワットなど、簡単にできることから始めてみましょう。

男性更年期障害は男性ホルモンの低下により、誰にでも発症する可能性があります。厚生労働省の意識調査によると、重度・中等度のLOH症候群に該当する方は40歳代で18.1%、50歳代で20.7%との結果も出ています。(厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果、2022年7月26日)しかし、その症状に応じた薬や漢方薬などを使用することで治療することが可能です。気になる症状がある方は一度医師に相談されることをお勧めします。

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