元気のない歩き方だと気分も滅入ってしまう

100mくらい前を歩いている人を見かけたら、その人を自分のラビットになってもらい、追いつくように早歩きしてみるのです。自分の前に目標があるのと、ないのとでは、歩くスピードも相当に変わってくるものです。

「まずはあの人だ」とラビットを決め、その人を追い越したら、「よし次はあの人!」と新しいラビットを見つけるようにすると、早歩きのトレーニングもになります。

トボトボと元気のない歩き方をしていたら、気分も滅入ってしまいます。

自分はまだ若いのだと言い聞かせて、できるだけ早歩きしながら目的地に向かうようにしてみましょう。

元気に歩いていると、なぜか不思議と気分も高揚してくるものです。走るわけではないので「ランナーズハイ」ではなく「ウォーキングハイ」と呼ぶべきなのかもしれませんが、ともかく気分が盛り上がってくることは間違いありません。

チーターや猟犬をイメージすると素早く動ける

颯爽と早歩きするには、ちょっとしたコツがあります。

それは、頭の中で走るのが速い動物をイメージしてみること。足の速い動物のことを考えていると、なぜか私たちの動作はキビキビとしてくるのです。

米国ニューヨーク大学のピーター・ゴールウィッツァーは、50名の大学生に「生きものと人間の構造的類似性」というインチキな科学記事を読んでもらいました

ただし、内容の一部は実験的に変えてあります。記事の中で取り上げられている事例の動物が、スピーディな動物である、チーター、ピューマ、ウマ、グレイハウンド(猟犬)となっているバージョンと、動きがのんびりしている、ナマケモノやカメになっているバージョンの2つにわけて実験したのです。

記事を読んでもらった後で、学生に別の作業をしてもらうと、直前にスピーディな動物の話を読んだ学生は、作業もスピーディにできるようになりました。動きがのんびりしている動物の記事を読んだ学生は、作業もゆっくりになってしまいました(図表1)。

出所=『老いを楽しむ心理学』(P106)