「結婚」と「離婚」の繰り返しで広がる人間の輪

元妻とその新彼氏、そして元夫。さらに新彼氏と元夫のそれぞれの両親(おじいちゃん・おばあちゃん)も「孫の誕生日」を祝います。相変わらず元夫婦は口をききませんが、そこは大人の対応です。子どもに対してはにこやかに接し、かつ新彼氏と元夫のそれぞれの両親は意気投合して盛り上がるという、なかなか日本人には想像しにくい光景が広がっていると聞きました。しかもこれはレアなケースでは決してないそうです。

他の家庭でも、離婚した夫婦がそれぞれ再婚した結果、新たな家族ができ、夏休みや冬休みには両家族が集いパーティを開いたり、それぞれの子どもたちを引き取って夏休みを共に過ごさせたりすることは一般的なようです。むしろ「結婚」と「離婚」を繰り返すことで、関係する人間の輪が広がり、関与する社会が広がっていくイメージです。

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大人の個人的な決断と「子ども」の人生は別物

「結婚」と「離婚」。あくまでもそれは、男女(もしくは同性)の感情と意思決定の結果です。大人の個人的な決断と、「子ども」の人生は別物であるべきだという考えに、私は大いに賛同します。

最近は「親ガチャ」という言葉もありますが、本来理想とするのは、どんな親の元に生まれても、子どもたちが安心して、心身共に健康に成長していける社会です。政府は子どもに対する経済的支援を充実させ、社会も様々な家庭の形、幸せの形があることを認め、当事者たちも縁あって「家族」となった以上は、共に幸福の形を考える。そうした意識が日本で醸成されれば、貧困に苦しむシングルマザー(ファーザー)や、虐待で苦しむ子どもたちは減少し、何より日本国が深刻に悩む「少子化」の突破口にもなっていくのではないでしょうか。

「少子化」と「結婚・未婚・離婚」に絡めて、もう一つお話ししたいと思います。かつての日本は「離婚大国」であったこと、そして戦前までは「(事実上)一夫多妻」の風土があったことは本書で述べました。こうした風習は、こと「出生率向上」に特化した場合、ある種の貢献をしていたという見方もあるのです。