「恋に夢中」は3年ほど

女性が自分の遺伝子を、子どもを通じてばらまくためには、まずもって出産をする必要があります。

ただし、出産は女性の心身にかなりの負担を与えるもの。合理的かつ理性的に考えれば、そんな危ない行為を進んで行おうとは考えないのがふつうです。

それでも、たくさんの女性が「子どもがほしい」と思います。それは、人間が後世に子孫を残すために、脳に備わっている「論理や理性にもとづいて慎重に判断を下すシステム」を麻痺させるからです。そうして、直感力ともいうべき、「ものごとをすばやく判断するシステム」のほうを優先させるのです。

ただし、いつまでも前者のシステムを使わないわけにはいきません。直感力だけでは、人間は生き残るのが難しいからです。

だいたい3年ほど経てば、次第に直感で決めた恋も冷めはじめます。期間には個人差がありますが、恋愛や結婚生活を長く続けたいのなら、この3年という期間のあとをイメージしておくことが大切。

「3年後もこの人と一緒にいたいだろうか?」
「3年後もわたしを大切に扱ってくれるだろうか?」

恋が冷めていく3年後を考えておくことが、恋愛や結婚生活を長く続けていくひとつの方法です。

理想の相手を求めていたら、脳はいつまでも決断できない

どんなことでも、「決める」というのは難しい作業ではないでしょうか。ましてや恋愛となると、悩んで、考え過ぎて、肝心のチャンスを逃してしまうことも。

脳はなるべく消費エネルギーを節約しようとするため、本来怠け者であり、複数の選択肢から選んで決めるのも苦手です。

複数の相手から候補を絞って、「理想の相手」を決めさせる婚活サイトや婚活パーティーなどは、実は脳にとっては苦行でしかないのです。

中野信子『感情に振り回されないレッスン』(プレジデント社)

あまりに出会いのチャンスが少ない状況なら、婚活関連のサービスを積極的に使うのはありでしょう。しかし、選択の幅を広げようといくつものサイトに登録し、パーティーへ出かけていても、脳はいつまでも決断できません。

逆に、選択肢の数が減ると、脳の認知負荷が軽くなります。たくさんの選択肢から選んだほうが、結果の質は高まるように思えますが、例えば二者択一のほうが貴重な人生の時間を無駄にせず、スムーズに正しい決断ができます。

もちろん、二者択一にこだわる必要はありませんが、恋愛相手を探し求めれば求めるほど、いつまでも見つからない(=決断できない)ことになりかねないのは、知っておきたいところです。

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