現在も地元トップの旧制一中は22校
地元の名門校という旧制一中の立場にも、変化が起こった。受験戦争の激化を防ぐために、小学区や総合選抜、学校群などの制度を導入して学校格差をなくす試みが長い間、続いた。その結果、東京大学など難関大学合格者が分散したり、難関大学を目指す生徒は私立高校に集中したりしたのだ。
かつては東京大学合格者全国トップだった東京の日比谷高校は、一桁にまで凋落し、京都の洛北高校は京大合格者がほぼゼロになった。
しかし、1990年代前後から自由化がトレンドになり、通学区域が広められ、理系コース、中高一貫校が設けられた。その中で復活してきた旧制一中もあるし、ほかの公立高校が重点校になってますます旧制一中が凋落してしまった県もある。
図表1は、そうした現在の実力を評価して一覧表にしたものだ。2023年入試における旧制一中の東京大学と京都大学合格者合計数を出し(同数の場合は東大合格者が多い方を優先)、各都道府県内でトップである高校を◎、公立ではトップである高校を○。どちらも2位以下の高校を×としてみた。その結果は、◎が22、○が8、×が17である。
宮城では仙台第一と仙台第二がライバル関係
ここからは、47都道府県ごとの情勢を見てみよう。文中で最初に校名が書いているのが、いわゆる旧制一中とされる学校である。
【北海道・東北】
北海道では、札幌南がトップだが、北海道大学については、キャンパスが地理的にも近い札幌北が優勢だ。
青森県では城下町である弘前に国立大学も一中もあったのだが、人口が少なく、現在は八戸(二中)や青森(三中)がやや優位。
岩手県では、宮沢賢治や石川啄木の母校である盛岡第一が県内でダントツの存在。
宮城県では仙台第一も健闘しているが、通学区域が下町であり、インテリ層が多いイメージの仙台第二が優位。
秋田県は秋田がトップ。ほかの東北の県と同様、かなりの卒業生が東北大に進学する。
山形県では、早い時期から山形東にてこ入れをしていて、一定の成果を上げている。
福島では、郡山市にある安積が一中で、磐城が二中、福島が三中(安積は郡名)。安積と福島が競うが、福島がやや優位。