「やってはいけない行為」を積み重ねてきた

「アメリカはひどい国だなあ」と、我関せずには、ならないでほしいところです。

たとえば我が国でもほんのつい最近まで、男性同士の恋愛は「気持ち悪いもの」だとされて、厄介者扱いされていたのを覚えていませんか。

実名を出して恐縮ですが、好感度No1芸人と言われるサンドウィッチマンさんの「エステ」というコントでは、お客役の伊達さんに、店員役の富澤さんがおもむろにキスをしようとするシーンがあります。そこで伊達さんは、「お前、あっちなのか、きっもち悪ぃ」と言う。会場は大爆笑。これは2014年の初演になります。直近、同じネタを見たときには、この部分はカットされていました。

もう少し時をさかのぼり、平成序盤では、ゲイのことを差別的に「ホモ」と呼び、彼らは、同性への色欲に狂っていると揶揄されることが普通でした。「お前、ホモに狙われるぞ」などと何気なく口にしたものです。そうした世の「常識」をとんねるずさんは、「保毛尾田保毛男(ホモオダホモオ)」というキャラクターに仕立て、まさに笑いの的にしていたこと、覚えている人も少なくないでしょう。

保毛尾田保毛男が2017年に「とんねるずのみなさんのおかげでした30周年記念SP」で一晩だけ復活した時、世間からは猛バッシングを受けたのも記憶に新しいところです。

2017年大晦日には、浜ちゃん(浜田雅功)が扮したエディ・マーフィも物議をかもしました。真っ黒い肌、分厚い唇といった人種的特徴を揶揄するその行為に対して批判が湧いたのです。ただ、当時のアンケート調査だと、大多数の視聴者はこの演技に疑問を抱いていません。

それらは、「過去の常識」と「今の常識」の邂逅点で起きたトラブルであり、それ以前の日本では、先ほどのアメリカと同様に、「やってはいけない行為」が積み重ねられてきました。

写真=iStock.com/Yuzuru Gima
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時代時代の常識が女性を苦しめてきた

私たちは、常に、同時代の常識に左右されて、人倫に悖る行動をしてきた(いや、している)と大いに反省すべきでしょう。

この連載では、時代時代の常識が、どれだけ女性を苦しめてきたか、を書きました。少子化はその結果生じた歪みであり、おおもとのアンコンシャス・バイアスを取り除かない限り、それは快復に向かわないでしょう。

小手先の「異次元対策」などは、焼け石に水のはずです。