毎月残したい金額の目安は手取り収入の6分の1

では、どう資金を増やしていけばよいのか。田中家は「つみたてNISAの毎月の積立額は5万円から減らしたくない。貯金と投資を並走したい」という強い希望がありました。それなら、月々の余剰額を5万円以上に増やす必要があります。

私たちはよく、「手取り収入の6分の1を残してほしい」と言っています。これは一般的な収入の家庭であれば、無理のない目標額です。田中家の場合、手取り収入は53万5000円ですから、その6分の1、8万9000円を残すことを目標にするのです。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
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とはいえ、家計収支の黒字額を現在の1万円弱から約9万円まで増やすとなると、かなり思い切った改革が必要です。田中さん夫婦は、入会していたスポーツジムを解約し、お子さんの習い事、家族ぐるみのキャンプといった交際費など、数千円単位の固定費や変動費から見直し、食費や水道光熱費、被服費も少しずつ減らしていきました。その結果、6万4000円と、大きく削減できました(図表1参照)。やれば、できるのです。あとは、これを継続し、さらに支出を削る工夫をしていくことです。

余剰額を6万4000円まで増やし、つみたてNISAを継続

田中さん夫婦は削減した6万4000円のうち、5万円はそのままつみたてNISAに回し、もともと出ていた黒字額と1万4000円を合わせた2万あまりの余剰金を預貯金口座に貯めています。

貯金と投資のバランス、それぞれの目標額は、各家庭のライフイベントによって変わります。田中家は現状、十分がんばってらっしゃいますが、できればもうあと2万円、余剰額を出して貯金を増やしたほうが安心でしょう。

横山 光昭『マンガでわかる NISA・iDeCoでつみたて投資』(池田書店)

小学3年生の次男は、大学進学まであと8年間。その教育資金は投資で得た利益から少し引き出すのもアリですが、次男が中学生、高校生の間に急に支出がかさむ可能性、また自宅の購入などのライフイベントも予想されます。

前述したように数年に一度は大型家電の買い替えなどの特別支出もあるでしょう。そう考えると、別途、生活費の7.5~12カ月分、少なくとも375万円の現預金は貯めておきたいところ。他方、老後資金に関しては、40代半ばの田中さん夫婦は70歳まで25年あるので、投資ですべての資金を作るのもいいでしょう。

老後資金など先の目標額を据えるのも大事ですが、まず見るべきは現状。そして、明日起きてもおかしくない不測の事態に備えることです。

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