安芸高田市石丸伸二市長の「居眠り告発」

「首長と議会」、その難しい関係は、市町村レベルでも同じである。

広島県の安芸高田市では、銀行出身で2020年に当選した現在41歳の石丸伸二市長が、3年前に議会を批判して、「いびきをかいて、ゆうに30分は居眠りする議員が1名」とSNSに投稿した。

なぜ安芸高田市長は「議会との対立」を動画で煽るのか(画像=広島県安芸高田市公式チャンネルより)

これに対して、数名の議員から、「敵に回すなら政策に反対するぞ」と恫喝どうかつされたという。この件以来、市長と議会の対立が深まり、市長の人事や政策が議会によって否決され、6月には市長への問責決議案も提出された。

その後も両者の対立は続き、9月28日には、昨年度の一般会計の決算認定案について、最大会派の議員たちが反対した。その理由は、「昨年9月の大型台風接近と報道されているなかで、市長が千葉県で行われたトライアスロン大会に参加して不在で市民に不安と不信を与えた」ということであった。

ここまで来ると、もう泥仕合としか言いようがない。地方自治はどうなっているのか。

アメリカで政府機関閉鎖問題が起きる理由

私は国政の場で、国会議員や閣僚を経験した後に、東京都知事になった。

東京は首都であるが、地方自治体である。国政との落差に愕然として、地方自治の問題点を数多く認識させられた。

議員や役人の能力や質の問題もあるが、それ以上に制度設計上の問題がある。

民主主義の政体として、大統領制(首長が直接選挙で選ばれる)と議院内閣制(議会の多数派が首相を決める)がある。私は、自分の政治体験から、後者のほうが良いと考えている。

モンテスキューのいう「完全な三権分立」は問題がある。それを採用しているアメリカでは、大統領と議会の対立で、最近も「つなぎ予算」をめぐり、政府機関閉鎖の危機が起こった。この問題は今後も続くだろう。