首相はいつ衆院解散を断行するのか
公明党の山口代表も23日、福岡市内での街頭演説で、解散・総選挙について「岸田首相が『そろそろやりたい』と言う時に『待ってほしい』と言えばチャンスを失う。いつあってもいいよう準備を進めたい」と述べ、解散環境の整備に同調する考えを示した。
公明党・創価学会は、6月に首相が衆院解散機運を高めて以来、全国で選挙態勢を敷いている。当初は衆参両院補選に合わせた「10月22日投票」を想定して臨戦モードに入ったが、その可能性が小さくなっても、支援者の動きを止めていない。
衆院選にまつわる各種情勢調査によると、議席を伸ばすのは野党第1党に迫ろうとする日本維新の会(現有41議席)だけで、政権与党の自民、公明両党は、現有293(261+32)議席から多少減らす程度で、自民党単独で衆院定数465の過半数(233以上)を確保できるのは確実だという。立憲民主党(現有96議席)を軸とする野党共闘は進まず、自民党4役の一人は「いつ解散しても、勝てる」と自信をのぞかせる。
岸田首相は、自らの政権基盤を固めるため、そして、防衛費の大幅増額、原発の再稼働・新増設などの重要政策、看板となる少子化対策を強力に推進させるためにも、早ければ今秋の臨時国会、遅くても来年の通常国会冒頭にも衆院解散を断行するのではないか――という臆測が消えなかったゆえんである。
こうして解散風を煽ってきた岸田首相が、ここに来て、軌道修正を図り始めた。
9月26日には新たな経済対策を10月末までに策定することを表明しながら、財源の裏付けとなる補正予算案の提出時期をあいまいにしていたが、3日後に、10月20日召集の臨時国会に提出する意向を明らかにした。さらに、10月3日の読売新聞インタビューで、「提出する以上は成立させたい」と踏み込んだ。補正予算成立は早くとも11月下旬とみられる。これが本意なら、年内解散は日程的には難しくなった。