「調査旅行+子連れ=遊び気分」に歯ぎしり

シングルで子どもを育てている私は、ありとあらゆる出張に、子どもを連れて行った。こうした研究者の子連れ問題は、やっと理解が広がり始め、制度の整備も進んできたところだというのに、今回の松川議員の一件がきっかけで「調査旅行+子連れ=遊び気分」という定式ができてしまったらと考えると、個人的には歯ぎしりをする思いである。しかも松川議員は、パリでの公務中、同行した小学生の娘を大使館職員に預け、ベビーシッター役を務めさせていたという疑いも伝えられている。

出張など仕事に関係する場に子どもを連れて行ったときは、ほかの人の業務の邪魔にならないようにと大変に気を使う。それでも、特に子どもがごく小さい時には、迷惑をかけてしまうこともあって、申し訳ない思いをすることも多かった。

できるだけ自分の仕事が滞りなく進められるよう、かつ、周りに迷惑をかけないよう準備や工夫をしながら「子連れ出張」や「子連れ出勤」をしてきた身からすると、松川議員がもし本当に大使館員に子どもを預けていたのだとすると、もう少し公私の線引きをしっかり引いてくれていたらと思わずにはいられない。現地でベビーシッターに頼めなかったものなのかと思ってしまう。

くしくも8月25日には、イタリアのメローニ首相が、外国を訪問する際に、6歳の娘を連れて行くようにしていると語ったことが、肯定的に報道されたばかりである。「一方、日本では松川議員の“やらかし”のせいで……」と思うと怒りが湧く。

「驚きもなく」受け止められた今井議員の炎上

今回のパリ視察旅行をめぐって痛手を負ったのは、今井絵理子議員も同様である。「旅費についても党の活動ですから党からの支出と、参加者の相応の自己負担によって賄われています」「先のベトナム訪問についていえば税金を原資としたお金は1円も支出していません」と強気の投稿をしたが、「政党助成金は、もとは税金なのに、仕組みを理解していないのではないか」と批判された。

2016年の参議院議員当選時、沖縄県出身でありながらテレビ番組で米軍基地問題について聞かれても答えなかったりと、政治や経済に対する関心や知識のなさを指摘されていたこともあり、「相変わらず政治のシステムをまったく理解していないのではないか」というイメージを強く植え付ける結果となってしまった。

しかし、元市議との不倫疑惑などもあり、これまで批判を受けることが何度もあった今井議員については、今回の発言もある意味「驚きもなく」受け止められているようである。過去、選挙中に憲法や政治について問われたのに対し「今は選挙中なのでごめんなさい」と発言した際の画像を貼られ、「まだパリ旅行が終わっていないのでごめんなさい」というフレーズが作られるなど、やゆの対象としてからかわれていた。

こうした今井議員に比べ、今まで大きなミスもなく議員生活を送ってきた元官僚の松川議員の傷は深い。本人も、こんなことでつまずくとは思っていなかっただろう。

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