次々に発覚したマイナンバー絡みの不祥事

「マイナ保険証」をめぐっては、別人の情報を登録したケースが8441件も判明、薬剤情報が閲覧(15件)されたり、保険資格を確認できずに「10割請求」(約770件)されたり、本人の同意なくひもづけが行われた(10件以上)など憂慮すべき事例が続出、、返納する動きも広がっている。

ほかにも、別人の情報が登録されたケースが次々に明らかになった。年金関連では、共済年金(119件)や労災年金(1件)で発生。障害者手帳では2883件が確認された。マイナポイントでも、別人をひもづけたケースが131自治体で172件あった。

コンビニ交付サービスでは、別人の証明書を交付(15件)したり、誤った内容を記載した証明書を交付(45件)したケースがわかっている。

すべての国民が生涯不変で固有の番号をもつマイナンバーは、個人を特定できるため、漏洩した場合のリスクが大きい。それだけに、十分すぎるほどのリスクヘッジと確実な管理が求められるのは、言わずもがなだ。

なぜミスを連発してしまうのか

マイナンバーをめぐるトラブルの多くは自治体などの窓口で起きているが、個人情報保護委員会は「マイナンバーのシステムを管理しているデジタル庁に一義的な責任がある」と追及、書面による調査では十分な回答が得られなかったため、行政の現場に直々に乗り込むことになった。

首相官邸』HPより

今後、ITや法務に詳しい専門チームが、マイナンバー制度の実務に携わる職員の聞き取り調査や、システムのログ(記録)の確認などを進めるとみられ、行政指導も視野に入れているという。

21年9月に発足したデジタル庁は、従来の霞が関にはなかった官民混成(官庁出身約500人、民間採用約300人)という異色の官庁だが、それゆえに内部の意思疎通に欠け、他省庁とのコミュニケーションも円滑とはいえない弊害が指摘されている。

デジタル庁は、公金受取口座登録問題のトラブルを国税庁の指摘で2月に把握していたにもかかわらず、庁内で情報共有が行われず、河野デジタル相に報告が上がったのは5月中旬になってからという失態を演じた。

個人情報保護委員会は「ミスが発生する運用体制や組織的な要因を調べていくことが重要」と強調しており、トラブルの主因になった情報管理のあり方だけでなく、こうした杜撰な情報連携にも関心があるとみられる。