ニオイが気になってもやってはいけないこと

第二次性徴期になると、性ホルモンの影響でワキガの原因を生み出すアポクリン腺からの分泌が増えます。思春期にニオイが強くなるのもそのためです。中高生の相談が増えるのも、多感な時期に、自分のニオイが気になる時期だからなのかもしれません。

アポクリン腺が発達する前に治療を行っても効果が弱いため、当院では基本的に中学生以上の患者さんにミラドライを照射しています(女性の場合は、初潮を迎えていない場合には照射を推奨していません)。しかし、多感な時期に「自分はにおうんじゃないか」と悩んでしまう男女は多いです。それが原因で対人関係にも支障をきたすケースもあるでしょう。

またニオイを気にするあまりに、ワキの下を1日に何度もゴシゴシこすって洗ったり、脇毛(腋毛)を抜いたりするなど不適切な自己処理をしてしまったりすると、ワキはデリケートな部分なので、湿疹や毛包炎を起こしてしまいます。

汗拭きシートや制汗剤の使いすぎも禁物です。制汗スプレーや汗拭きシートに含まれているアルコール成分などが原因で、ワキを「頻繁に」「ゴシゴシ」拭くと肌が荒れて湿疹になったり、場合によってはジュクジュクしてニオイを発したりしてしまう可能性があるからです。

個人的には一度しかない中学、高校時代を楽しく過ごすための選択肢としてミラドライを検討してみる余地はあると考えています。

ワキガになりやすい人の特徴とは?

では、ワキガになる人、ならない人の違いは何かというと、アポクリン腺は誰にでもありますが、ワキガの人はアポクリン腺が大きくて、その数も多く分泌量が多い傾向があります。また、ワキガは遺伝するため、親子ともになることが多いです。

日本人などの黄色人種ではその頻度は約10%程度ですが、白人や黒人ではほとんどの人に多少ともワキガがあります。耳垢が湿っているタイプの人に多いともいわれています。

有病率はやや女性が多い程度で、男女比はほとんど変わりません。しかし、当院でミラドライを希望するのは女性の患者さんが圧倒的に多いのは、女性のほうがニオイに敏感だからかもしれません。

よく「肉食が多い人にワキガが多い」といわれますが、実は食生活が影響するというエビデンスはありません。しかし、食生活や睡眠の乱れのストレスがきっかけでワキガの症状が悪化する可能性はあるため、バランスのよい食生活や良質な睡眠を心がけることが大切です。

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