『君たちはどう生きるか』に再び注目

最後にご紹介したいのが、第16位の『君たちはどう生きるか』。1900年代の名作として愛されてきた本書は、2017年に漫画化されて200万部を突破し、一大ブームを巻き起こしました。2023年7月に同名のジブリ映画が公開されたことで、いま再び注目を集めています。

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波書店)

本書の主人公は、成績優秀な15歳の少年、コペル君。彼が見聞きしたことと、そんな彼に対して叔父さんが書いた「ノート」のパートで構成されています。

特に印象的なのは、雪の日の出来事です。コペル君と一緒に雪合戦をしていた友人たちが、雪人形を壊してしまったことで上級生たちに責められたのです。物陰に隠れながら、どんどんエスカレートしていくやりとりをハラハラしながら見守るコペル君。そんなとき、別の友人が飛び出して彼らをかばいますが、あっけなく殴られてしまいました。

「自分も飛び出すなら今だ」と考えるコペル君ですが、足がすくんで動けません。コペル君の脳裏には、「卑怯者」という無言の声がこだましていました――。

誰でも経験のありそうな出来事です。さて、この悔しさをコペル君はどのように乗り越えたでしょうか。そして、自分を責めるコペル君に、叔父さんはどのような言葉をかけたでしょうか。子どもから大人まで、広い世代の心に響く一冊です。

今月も、話し方から睡眠改善、プレゼン術まで、幅広いジャンルの本がランクイン。また、先月第1位だった『頭のいい人が話す前に考えていること』が第12位、第4位だった『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』が第19位、第14位だった『グッド・ライフ』が第8位と、依然として多くの方に読まれています。来月はどのような本が多く読まれるのか、引き続きチェックしてまいります。

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