韓国・釜山を経由して日本で消費されている

ロシアにとっての最大のカニ輸出相手国は実は韓国で、金額ベースで全体の4割のシェアを占めていると海外メディアは伝えています。日本で消費されるロシア産のカニも、外国産冷凍マグロと同様、韓国・釜山を経由しているものが少なくありません。加えて、中国などの経由ルートが多数存在すると言われています。

ちなみにロシア連邦漁業庁によると、2022年における水産物の輸出量は230万tと、前年比10%増となっていますが、そのうち4分の1を中国への輸出が占めています。しかもカニを含む甲殻類の輸出は3割増となっています。この一部は中国を経由して別の国に流れているとも考えられます。

いずれにせよ、ロシアとの水産物取引は、戦争という事態を受けてのイレギュラーな体制になっており、どこにどれだけ在庫があるのか、全体像を把握することは容易ではありません。

値上がりは止まっても、暴落は起きないのでは

こうした状況の中であえて今後の価格動向を予測するとすれば、そろそろカニの値上がりの余地はなくなってはいますが、突然半額になるような暴落も起きないのでは、というのが筆者の見立てです。

カニは水産物のなかでも単価が高い部類に入ります。カニ漁は多くの場合、漁期が数カ月と短いため、荒波のなかでも出港し、徹夜で操業することもしばしばです。

写真=iStock.com/Bobby Ware
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日本でもカニ漁船作業員は高額バイトのひとつとしても知られていますが、過酷さあってこその高収入なのです。カニ漁で一攫千金を狙う海外の人気ドキュメンタリー番組を観た方もいるでしょう。

加工にも多くマンパワーが関わっています。流通量の大部分を占める冷凍カニは、ボイルされ、甲羅を取り、肩の状態にして凍結されて箱に詰めて出荷されます。

ちなみに現地の工場ではカニミソが入っている甲羅が床に転がっていることもしばしば。ミソ好きの日本人にとってはもったいない限りですが、手間や効率を考えて肩だけの状態で出荷されることが多いのです。