中古で売ってローンを返済する計画はうまくいかない

現所有者にとっては、したはずの対策が不十分になるばかりでなく、相続発生後に売却して相続対策のために組んだローンも返済しちゃえば良いと思っていた人たちに暗い影を投げかける。これまでは価格は高いほうが節税効果は高いため、中古で販売する際にも、新たに相続対策をやりたい顧客に売れていたのが、税制改正後は売れなくなることが予想されるからだ。

いっぽう市街地再開発事業は現状でも国内で100件以上が計画されているが、この事業は権利者の意見調整に時間がかかるため、たいていの事業は10年から15年の長い期間をかけている。

これから起こることとは、まだ正式に保留床の買い取りを表明していないデベロッパーやゼネコンは静かに事業から手を引くだろうし、組合が設立され参加組合員になっている場合には条件の引き下げなどが叶わず、想定どおりに売れず、物件を抱え込むことも懸念される。

節税対策に励むのはいいが「欲張るのもほどほどに」

はてさて困った事態になったものだ。この改正のきっかけになったのが、昨年最高裁で判決があった、札幌市のマンション2棟の相続評価額を巡って相続人と税務署が争った事例と言われている。

これはタワマンではなく2棟のマンションを相続したケースだが、相続対策を考えた相続人が13億円強の価格で賃貸マンション2棟を父親名義で買い、相続が生じた際に評価額3億3000万円で評価して相続税を激減させた事例に対し、税務署がその評価が実勢価格とかけ離れているとして12億強での評価を新たに行い、課税を主張した裁判だった。

税務署の対応に不服を唱えた原告が最高裁まで上告してしまったがゆえに大きな話題となり、今回の評価の見直しにつながったとされる。原告としてはよほど悔しかったのだろうが、節税などというものはしょせん納税者と税務署のいたちごっこにすぎない。「欲張るのもほどほどに」ということだ。

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