顧客目線が「商品の魅力」から「得られる気持ち」へ移行

エモマーケティングの目的から見ても、従来のプロモーションでは訴求できないことがわかると思います。

企業としては、「大特価!」「当社比○倍!」といった魅力を伝えたくなりますが、Z世代にとって、機能面や金額的な理由は自分にとっての「買う理由」になりません。

今瀧健登『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)

例えば中華街でお店を探しているときに、「中華街でいちばん小籠包がおいしいお店」と看板の出ているお店があったとします。これでは「小籠包がおいしい店なんだな」で終わってしまいます。小籠包がおいしい店はほかにもたくさんあるでしょう。

消費者に自分のための商品だと思ってもらうために必要なのは、お店に行ったときに「どんな気持ちになれるのか」という部分です。

「カップルにお勧めの中華料理屋」であれば、少し想像しやすくなります。あるいは「デートで立ち寄りたい、肉汁溢れる小籠包のお店」ではどうでしょうか。より「どんな気持ちになれるのか」を想像できると思います。

出典=『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)

結局、いまも昔も、何かを売るためには「顧客目線」が必要だという話になるのだと思います。商品やサービスを売るためには、消費者が得たい情報を伝えることに尽きます。

それがいままでは「商品の魅力」だったわけですが、いまは「商品を買ったときに得ることのできる気持ち」に移っている。だからそれを打ち出せばいいということです。

このように、エモマーケティングは、エモを感じるシチュエーションを伝えるものであり、商品の魅力を伝えるものではありません。ということは、エモは商品を選びません。

直接的にエモを生み出しやすい商品とそうではない商品もありますが、最低限の機能を備えていれば、商品でもサービスでも、店舗ビジネスでも、基本的にはどんなものでも応用できます。

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