株価が低迷している企業に「経営努力」について聞いてみると

デビュー戦や社歴の浅い会社の株主総会でも、社長の発言にがっかりするケースはあります。なかでも強烈だったのが、ネットオークションを展開する会社の株主総会に出席したときです。

会社四季報を見る限り、業績はすごく伸びているのですが、株価がいっこうに上がりません。理由を探ろうと、株主総会に参加することにしたのです。

社長は某国立トップ大学出身で、非常に優秀な方です。問題は質疑応答の時間に、誰かが株価の話に言及したときです。

株主総会で株価について株主が質問するのは、私は基本的にマナー違反だと思っています。業績は経営努力の結果であり、経営者の責任ですから、株主として社長に質問するのは問題ありません。

ところが株価はマーケットが決めるものです。会社が決めるのではなく、それについて文句を言うのは筋違いです。どうしても尋ねたいとしても、言い方があります。

最初に「業績は経営の結果、株価はマーケットが決めるものだということはよく理解しています」などとひと言断ったうえで、「とはいえ、株価で低迷しているのは事実です。それに対して改善するための経営努力は何かしていますか」などと尋ねるなら、わきまえた発言になります。

「株価が低迷して一番痛いのは私」と答えた社長

このような質問に対し、「IRを一生懸命やっています」「業績を上げていきます」などと答えるなら、とくに問題はありません。ところがこの株主総会では、社長の発言にも問題がありました。

「お気持ちはわかりますが、弊社の大株主は私です。株価が低迷して一番痛いのは、私なんです」。そんな回答をしたのです。

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こんなことを言われては、個人株主としては返す言葉がありません。相手は過半数以上持っている大株主で、自分は100株しか持っていない雑魚となります。これでは「株主をやっていても無駄」となり、その会社に対する熱が冷めてしまいます。

これも一事が万事で、社長がそういう感覚でいる限り、株価が低迷しても対策を取ろうとはならないでしょう。こういうのは空気でわかります。

この社長は経営者として空気が読めず、同じことを社員にもやっている可能性があります。さらには顧客にもやっている可能性があるわけです。株価低迷の理由も、理解できる気がしました。