配当性向は30%以下が望ましい
では、3つの視点を具体的に見ていきましょう。
●配当利回り
配当利回りとは、前述のとおり、株価に対する配当金の割合のことです。
もちろん、配当利回りが高ければ何でも良いというわけではありませんが、高配当株投資のスタンスであれば、少なくとも「高配当利回り」であることが最低条件となります。
具体的な数字としては4~5%以上が理想ですが、最低でも3%以上はほしいところです。
●配当性向
配当性向とは、利益のうち、どれだけを配当金に回したかという割合です。たとえば利益が100億円で、配当金が30億円なら、配当性向は30%となります。
そして、この配当性向については、あまりに高すぎるのは要注意です。たとえば配当性向が90%の場合、これは利益の90%を配当金に回したわけですから、会社には利益はほとんど残りませんよね。
極力、配当金を捻出してくれる姿勢はうれしいですが、それが負担となって、会社の業績・財務状況が悪化すれば、本末転倒です。
ですので、配当性向は50%以下、できれば30%以下くらいであってほしいところです。
●過去の配当金実績
過去の配当金実績とは、これまで配当金がしっかり支払われてきたのかという実績のことです。
少なくとも過去5年間程度は、大きな減配はなく、無配当もなく、安定的に十分な配当金を出し続けていることが一つの目安となります。たとえば、りそなホールディングスの配当金は、過去5年間、1株当たり21円でずっと変わりません。
もちろん、それが将来の配当金支払いを保証するものではありませんが、それくらい長い間、しっかりとした配当金の支払い実績があれば、将来的にも、減配や無配転落の恐れはかなり低いと言えるでしょう。
高配当株投資は、結果的に優良銘柄発掘にもつながる
配当金は、預貯金等の利子とは違って、必ずしも約束されたものではありません。
基本的には、業績が良ければ配当金は増えますし、悪ければ減るわけで、下手すれば無配当になることもあるわけです。
ですので、安定的に配当金を出し続けているということは、それは業績の安定した企業であるわけで、そのような企業であれば、財務状況も良好である可能性も高いでしょう。
つまり、過去の配当金実績が素晴らしい企業は、結果として、手堅い優良銘柄である可能性も高いのです。
そして、そんな過去の配当金実績に優れた銘柄が、今、「高配当利回りである(目安は3%以上)」ということは、配当金額に対して、株価は割安な水準ということなので、これは非常にお買い得な状態であると言えるでしょう。
また、その銘柄において、「配当性向はさほど高くはない(目安は30%以下)」状態であれば、これは、無理して配当金を出しているわけではなく、余裕をもって配当金を出しているということなので、将来的にも安心できますよね。
そのような銘柄であれば、配当金を目的とした株価の下支え効果も大きく、株価が大きく下落する可能性は低いと言えるでしょう。
というか、将来的な値上がりも大いに期待できるわけです。
私が、高配当株投資で失敗が少ないのは、そんな配当金重視の視点で徹底的に吟味したことが、結果的に、手堅い優良銘柄の発掘につながったおかげだと思っています。