現状はまだいい状態かもしれない

私は当時、この50代の管理者について、ここまでひどい性格の人はめずらしいと思っていました。

この人のせいで退職してしまう社員も多く、それは私が入社する以前から続いていることだとも聞いていたのです。

しかしながら、世の中には、予想できないことがあるものです。

私はその後(この人の存在とは関係なく)転職するのですが、転職先にいた管理者や同僚に比べれば、この50代の管理者は、それほどひどい人ではなかったのです。

世間には、もっと意地がわるく、病的に性格のわるい人たちがいました。

嘘をつき、部下や同僚の業績が上がらないように邪魔をしたり、人のことを経営層にわるく言って回るような卑劣な人たちが存在していたのです。

ここでは詳細な例に言及するのは控えますが、弱い立場の人をいじめ、活躍させないために全力を尽くすような、考えられない性格の人がいるのです。

そうした性格に問題のある人が「何人かいる」のではなく「うじゃうじゃいる」――そんな組織さえ、世の中には存在するのです。

私は相談者の方に、「そんな人たちもいますから、その上司の方を嫌がらないでください」と言うつもりはありません。

しかし、嫌な思いをされたときには、それは「まだいい状態かもしれない」と考えてみましょう。そのように勧める理由を次に説明します。

「何を考えているかわかる人」はまだラクな状態である

ここまで性格に問題のある人について述べてきましたが、ここに登場した「性格に問題のある人たち」には、共通した特徴があります。

その特徴とは、彼らが「何を考えているかわかる人」であることです。

否定することで何かをした気になっている人、部下や同僚を陥れようとする人、いじめが好きな人など――ろくなことはしてきませんが、彼らがどういう意図で何をしようとしているかは、はっきりと読み取れるのです。

彼らは、その性格のわるさが、人相として顔に出ているのも特徴です。

このように相手が何を考えているかわかるのは、まだラクな状態と捉えることができます。

言動からであれ、人相からであれ、性格に問題のあることがわかる相手に対して、私たちは警戒心を持って、センサーを働かせておくことができるからです。