1年間に全国大会はいくつ開催されているのか

筆者は部活やユーススポーツについて研究しているが、実はこれまでの研究では、「全国大会っていくつあるの?」という素朴な疑問は明らかにされてこなかった。そこで、1946年度から2001年度までの中学生・高校生年代の全国大会の展開を、各種資料を元に計量的に明らかにしようと試みた(詳細は、中澤篤史・星野映「中学生・高校生年代における競技大会の展開(1946-2001)」『スポーツ科学研究』19)。

日本体育協会編『日本アマチュアスポーツ年鑑』などの競技横断的な大会資料、各競技団体・学校体育連盟の周年史・記念誌や公式Webサイト情報、新聞記事・報道記録などをひたすら集めて、どんな競技で、どんな全国大会が、いつ開催されていたのかを一つひとつ調べてみた。

すると、1946年度から2001年度までに、年度ごとに延べ数で数え上げると、52競技で9029大会と多くの全国大会が開催されていた。

競技ごとでは陸上競技、テニス、相撲、野球が多い

競技ごとに詳しく見てみると、全国大会数がもっとも多かったのは陸上競技(466大会)だった。

以下多い順に、テニス(429大会)、相撲(398大会)、野球(385大会)、サッカー(372大会)、スキー(340大会)、柔道(322大会)、剣道(297大会)、卓球(277大会)、ソフトテニス(264大会)、バレーボール(262大会)、自転車競技(254大会)、スケート(248大会)、水泳(245大会)、体操(245大会)、レスリング(245大会)、ボート(235大会)、バスケットボール(234大会)、軟式野球(233大会)、ハンドボール(223大会)と続く。

全国大会の数は競技ごとの違いも大きい。

陸上競技が多い理由は、古くから、多様な種目で行われてきたからだ。たとえば、高校のインターハイなどに加えて、中学では全中に先立って1955年度から「放送陸上競技大会」が開催されはじめた。これは各都道府県会場での競技結果を集計して「日本一」を決める特殊な全国大会だった。その他にも、駅伝大会、競歩大会、室内大会、女子大会など、いろいろなカテゴリでの全国大会が開催されてきた。

野球は、もちろん高校で春と夏の甲子園大会などがあるが、近年、中学での硬式野球が浸透して、全国大会も増えてきた。1971年度に始まったボーイズリーグの「日本少年野球選手権」を皮切りに、2001年度で見ると、リトルシニア、ポニー、ヤングリーグといった民間の硬式野球団体も全国大会を開催し、それらを統合したジャイアンツカップもできた。中体連(日本中学校体育連盟)は軟式野球の競技部しか持たないが、その外側で民間の硬式野球クラブの全国大会が急増してきたのである。