フィードバックにおける「ソラ・アメ・カサ」の使い方
ここからはギャップフィードバックにおける「ソラ・アメ・カサ」の応用を見ていきましょう(図表2)。
ギャップフィードバックをする際、つまり相手に問題があると思った時、多くの場合、「こうすればよいのになぁ」というアイデア、つまり「カサ=改善案」は伝え手の中にすでにあるはずです。
しかし伝え手と受け手の間でソラやアメについての合意ができていないのに、伝え手がいきなり「こう直すべきだ」と結論づけても、受け手は戸惑うばかりです。
実際、カサ思考のギャップフィードバックをやってしまった結果、失敗に終わるケースはよく見られます。受け手にしてみれば、そもそも課題認識がなかったり、指摘された課題も事実に基づかないものであれば、フィードバックをされても納得感が得られないのです。
改善要求(重め)のフィードバックは言い訳や反論などが予想され、難しいものです。だからこそ、以下のように3つのステップを丁寧に踏んでいく必要があるのです。
実効性のある打ち手を生み出す方法
ステップ1:ソラ
ギャップフィードバックにおける「ソラ」のステップでは、目に見える形で表面化しており、すでに周囲に何らかの悪い影響を及ぼしている事象を対話しながら合意します。こうした事象を総称して「表層課題」といいます(「ソラ」のステップでアメっぽい「課題」という言葉が混じるのが少しわかりづらい部分なので注意してください)。
たとえば「資料にミスが多い」「仕事の納期が遅れがち」「営業成績が未達」「部下に退職者が多い」など、これらは表面化している問題であり、表層課題と言えます。また表層課題の論拠となる事実やデータ、その結果として生じている悪い影響もこのステップで共有しておきます。以下はソラのステップで共有すべき表層課題、事実やデータ、悪い影響の例となります。
●「今月は3回、納期が遅れた」→表層課題の論拠となる事実やデータ
●「そのため関連部門で残業が生じた」→結果として生じている悪い影響