「なぜ日本に子供が増えないか」の最終結論
日本おける生涯無子率という正式な統計はありませんが、出生動向基本調査において、45~49歳時点の夫婦の子無し割合については長期的に統計をとっています。OECDの統計と多少の誤差はありますが、ほぼイコールと考えていいでしょう。
それによれば、婚歴有の無子率は1980年代と比べて上昇しているとはいえ、3.5%が9.9%へと6.4ポイント上がったにすぎません。一方で、女性の生涯未婚率は13.4ポイント、男性は25.7ポイントも上昇しています。生涯無子率を上げているのは、生涯未婚率が上昇しているからだと結論づけられるでしょう。
もちろん、一生結婚しないという選択的非婚や結婚はしても子を持たないと決めた選択的無子の夫婦も存在しますし、そういう方の選択は尊重されるべきですが、一方で、本当は結婚したいのにできない不本意未婚や本当は子を持ちたいのにできない不本意無子に対しては、何らかの手立てが必要かもしれません。
30年前は2割しかいなかったが、今や4割に
特に、前者の人口ボリューム的に多い未婚の問題は深刻です。未婚増の問題は、婚姻減に直結する話でもあり、婚姻減はそのまま少子化として反映されていきます。
出生動向基本調査の結果で「一生結婚しない」割合が増えたことがニュース化されますが、実はそんなことはどうでもよくて、問題は結婚したいのにできない不本意未婚が増えることのほうです。20~34歳の未婚男女のうち、不本意未婚は4割以上も存在します。
まだ皆婚時代の名残のあった1990~1994年時点ではこの「不本意未婚」は、男性でも2割程度、女性に至っては数%しかいませんでした。これは、結婚を希望する20~34歳の未婚女性は1990年代前半まではほぼ全員が結婚できたということになります。その後、2005年にかけて不本意未婚は大きく増加し、男女ともに4割以上の「不本意未婚」が生まれているのですが、これは奇しくも生涯無子率や生涯未婚率の上昇とも連動しています。
少子化の問題は、婚姻減の問題であると繰り返し私が言っているのはそういうことです。