SDGsに世界の国々はどのように取り組んでいるのか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「実は、他の先進国ではまったく知られていない。生真面目に取り組んでいるのは、国連が大好きな日本だけだ」という――。

※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。

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日本が積極的に取り組んでいるSDGs

日本ではここ数年SDGsが大流行です。

SDGsとは「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)のことです。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後に、2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された目標であり、加盟国の全会一致で採択されました。2030年までに持続可能でよりよい世界をめざすというものです。

17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰ひとり取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。日本の外務省によれば「SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる」となっています。

紙ストローを採用している企業の笑える実態

日本ではこのSDGsなるものが企業の取り組みとして重要なアピールポイントになっていて、Webサイトで「わが社はゴールの達成に頑張っています!」と書きまくった動画を公開、また企業として大々的なキャンペーンを展開しています。

SDGsは「環境に良い活動」を中心に掲げていますが、その目標には平等な社会の達成や性差の是正なども含まれているので、こういう取り組みがなされるのです。太陽光パネルも設置し制服も変えて、祈りのスペースも用意してと、やること満載です。

一方で某電機メーカーでは「わが社は環境に優しい企業をめざしているので、カップ麺の汁はトイレなどに流さないでください。汁は全部飲むように!」ということを社員に強制していたりしています。

みなさんが大好きな(?)「紙ストロー」もSDGsの一環です。あれを採用すると「わが社はSDGsをやっています!」というアピールポイントになり、年次報告書にも得意満面で記載することができます。でもドリンクの入れ物はプラスチック製で、巨体の部長がどっかりと座っている社員食堂やオフィスの椅子もプラスチックなんです。