24時間365日連続の報道専門チャンネルを
NHKは公共放送としての在り方を抜本的に見直したほうがいい。現在、NHKは地上波に2つ、BS(衛星放送)に4つのチャンネルを持っている。経営計画でBSを1つ減らす計画を立てているが、それでも5つ残る。そのうちのBS2つを使って、何が起きてもひたすらニュースを流す専門チャンネルをつくるべきだ。
たとえば、イギリスBBCは9チャンネルあり、うち1つはニュースを24時間流す専門チャンネルだ。中国CCTVに至っては20チャンネル以上を有して、通常のニュース専門チャンネルはもちろん、経済ニュース専門チャンネルもある。公共放送にとってニュースは神聖なもの。他に邪魔されない専門チャンネルがあることが世界標準だ。
地政学上の問題の重要さを鑑みれば、海外と国内、それぞれに専門チャンネルが欲しい。海外チャンネルは、この時間は中国、ここはアメリカ、ここはEUとロシアというように、時間で区切って、現地の放送局によるニュース番組を同時翻訳で流せばいい。
NHK独自の番組にも期待したい。今のNHKの海外ニュースを見ていると、現地の特派員と中継しても、骨格は日本のスタジオ側で組み立てていることが多く、現地の生の声がわからない。一方、BBCやCNNは特派員側が主でニュースを伝える。情報の価値が高いのはもちろん、東京のスタジオが考えたシナリオではなく、現地でしか得られない情報のほうである。
次に現在のEテレ(教育テレビ)は、そのまま残せばよい。教育はニュースに次いで公共性が高いからだ。
ただし、内容は見直しが必要だろう。Eテレを見ていると、レベルの低いほうに合わせる意図があるのか、近年はやさしい方向に向かっていて、教育というよりなかばエンタメ化している。
日本が世界から遅れ始めている今、公共放送に求められるのは、世界の最先端の教育を紹介することだろう。たとえばフィンランド、デンマーク、イスラエル、シンガポールなどで行われている教育を放送してもいいし、文部科学省が普及させようとしている国際バカロレアの授業をやるのも面白い。
語学番組も力を入れているようだが、意味がない。教育コンテンツが限られていた50年前なら、NHKラジオはいい教材だったかもしれないが、英語教育の教材が溢れている今、NHKがやる必要性がどこにあるのか。イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、アラビア語などの各言語の講座もあるが、NHKのおかげでそれらの言語が上達して仕事に活かせるようになった、という声は聞かない。