性犯罪の根深さ

プログラムの参加者は誰もが同じことを口にした。罪を犯している時、被害女性の気持ちなどこれっぽっちも考えていなかったと。そして、続けるのだ。問題行動を二度と起こしてはならないし、起こしたくない。自分の身勝手さだけでなく、被害女性がどれだけ不快な思いをし、どれだけ怖い思いをしたかもようやくわかった。更生こそが唯一の謝罪になるように思うと。やはり服役経験があるという参加者も、同じように言っている。

「普通の人生を歩めるように自分を変えていきたい。被害者には直接の謝罪ができないから、自分がこれからどう変わっていくかで示すしかない。それが謝罪になると思っている」

中には罪を犯していた自分に嫌悪感を抱き、世界中の女性を敵にまわしたかのような錯覚に陥って、一時期は女性に接することさえも怖くなったという参加者もいる。だが、性犯罪を繰り返していた時、彼らは誰一人として被害者の心の苦痛にまで思いを馳せることはなかった。それが性犯罪の実態であり、問題の根が深いところだ。

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ニュースになった数々の性犯罪

俳優の香川照之は、銀座のクラブホステスが着けていたブラジャーを剝ぎ取ると同席の仲間と匂いを嗅ぎ、服の中に手を入れて乳房をなでまわすなどのわいせつ行為に及んだ。ENEOS会長(当時)の杉森務も、同じように沖縄のクラブホステスのドレスを強引に脱がし、上半身を裸にするなどの蛮行に及んだ。そのときに言い放った言葉が「銀座では普通だよ、こんなの」「いいから乳首、触らせろ」だったという。

ミシュランで一つ星をもらった大阪市浪速区の日本料理店店主は、女性客に睡眠導入剤を飲ませ、意識が朦朧としているところを性的暴行に及んだ。余罪もあったとされ、2件の準強制性交罪で起訴されている。岡山県里庄町の人気ゲストハウス店主も女性客に睡眠薬を飲ませての性的暴行が発覚して逮捕された。被害に遭った女性客は数人に及ぶと見られている。

盗撮容疑で現行犯逮捕された千葉県警捜査四課の課長補佐は、押収した動画やこれまでに起きた強制性交事件の現場に残されていたDNAと照合した結果、3件がこの課長補佐による犯行だったことが判明した。刃物で女性を脅しての犯罪だったこともわかり、2件の盗撮容疑と3件の強制性罪交容疑とで逮捕は計5回を数えた。警視庁でも公安部の巡査部長が路上で見かけた女性のあとを尾け、自宅に侵入。約1時間近くにわたって性的暴行を加えたという事件を起こしている。