修正申告、納税できなければ差し押さえ

税務調査が終わり、吉田さんは確定申告のやり直しとして修正申告を行うことになった。

ところが問題はこれで終わらない。修正申告にともない、申告漏れの税金に加え、ペナルティーとして加算税や延滞税が科せられることになったのだが、吉田さんの手元には納税するためのお金がなかったのだ。確定申告で節税できたと思い込んだ吉田さんは、残っていた現金を生活費や仕事のためにかなり使ってしまっていた。

そのことを税務署の担当者に伝えたところ、滞納が長引くほど延滞税が加算されるという。さらに、滞納が長引けば、車などが差し押さえられる可能性があると聞き、吉田さんは頭を抱えた。

税金を納めるために急いでお金を稼がなければいけない。しかし、吉田さんは税金の不安から仕事が手につかない状態になっていった。

あらためてフリーランスの厳しさを痛感し、吉田さんの頭には「廃業」の二文字がよぎる。しかし、滞納した税金は廃業や自己破産をしても免除されない。出口の見えない状況に、吉田さんは頭を抱えるほかなかった。

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新車ではなく中古車を買うべき理由

吉田さんが危機的な状況に置かれたそもそもの原因は、税金のルールをきちんと確認せず、しかも税務調査が来ないと油断していた点にある。

税務調査といえば会社に対して実施されるものというイメージをもたれやすいが、個人事業者に対する調査も実施されている。吉田さんのように、売り上げ金額が伸びているにもかかわらず極端に利益が少ない場合は、調査の対象になりやすい

では、吉田さんは最初から節税を諦めるべきだったのかというと、そうではない。きちんとした方法で節税に取り組めば、吉田さんは合法的に税負担を下げられたはずだ。

たとえば、車などの物品を購入するときは、「中古品を買う」ことが効果的である。よく、「4年落ちのベンツを買えば節税になる」と言われるが、その理由がここにある。減価償却で用いる耐用年数は、中古のものを買うと短縮されるのだ。

普通車の場合、新車なら耐用年数は6年だが、4年落ちの中古車なら2年に短縮される。耐用年数が短くなれば、それだけ購入した年に計上できる経費が増えるため、その年の納税額が少なくなる。