政府が大真面目に期待を寄せているのが「防空壕」

防衛省は、国産ミサイルが間に合わないリスクを理解している。22年10月28日、日本政府がアメリカから巡航ミサイル「トマホーク」の購入を検討しているという報道があった。トマホークは91年の湾岸戦争で初めて実戦で使用されたミサイルだが、2000キロ飛ぶので、北朝鮮への反撃能力として十分だ。

トマホーク購入が自民党で議論された形跡はない。おそらく防衛省が既成事実化を狙って新聞にリークしたのだろう。私も購入には賛成だ。日本にはコロナ対策予算で未執行のお金が13兆円ある。トマホーク一基2億円で1000基買っても2000億円である。

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国産ミサイル開発やトマホーク購入ができても、ミサイルをどこに配備するのかという問題が残る。日本を守りたいと考えていても、地元にミサイルが置かれるとなると話は別だ。本来なら右翼論壇などのジャーナリズムがこうした議論をリードするのだろうが、かついでいた安倍晋三元首相が反日の旧統一教会とズブズブだったことが判明して火消しで忙しそうだ。

反撃能力については課題が山積みだが、これが整わなければどうなるのか。政府が大真面目に期待を寄せているのが「防空壕」だ。21年4月時点で、国内のコンクリート製の緊急一時避難施設は5万1994カ所で、そのうち地下施設は1278カ所。これではまだ足りない。政府はとくに地下施設の指定を重点的に推進する方針だという。

ロシアから雨あられとミサイル攻撃を受けたわりにウクライナで死者が少なかったのは、防空壕のおかげだと言われている。幸いにも北朝鮮はロシアほど多くのミサイルを保有していないし、日本よりも米韓の軍隊を相手にしなければならない。1週間もすれば撃ち尽くすだろう。そこまで耐えればアメリカが前面に出てきて、北朝鮮はフィニッシュだ。

それでも死者が出ることは避けられないだろうし、防空壕での生活は厳しいものになる。地震大国である日本は食糧や水などの備えが進んでいる部分もある。75年前の空襲から進歩がなくてため息が出るが、これが日本の安全保障の実態である。

(構成=村上 敬 写真=朝鮮通信=時事)
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