政府・国会は皇室の方々のお気持ちを無視できない
もちろん、皇室の方々は「国政に関する権能を有しない」(憲法第4条第1項)とされる。だから、どのようなお考えをお持ちでも、皇室典範の改正には直接的に関与できない。しかし、政府・国会としては、当事者でいらっしゃる皇室の方々のご意向にしかるべく配慮する必要がある。当事者のお気持ちをまったく無視しては、制度自体の安定性を期待しがたいからだ。
悠仁さまを待ち受ける過酷な生涯
そもそもジェンダー平等という理念“以前”に、事実として過去の皇位継承に大きな貢献をしてきた、正妻以外の女性(側室)から生まれた非嫡出子、非嫡系子孫による皇位継承の可能性がすでに一切排除された。にもかかわらず、皇位の継承資格を過去の男尊女卑の観念にとらわれて「男系の男子」だけに限定していては、一夫一婦制の下で男子が代々生まれ続けることはありえないので、傍系による多少の支えがあっても、皇位の安定的な継承も、皇室そのものの存続も、望みがたい。
率直に言えば、今の制度のままなら、皇室はやがて悠仁殿下お1人だけになる。しかも、そのご結婚相手は必ず1人以上の男子を生まなければ皇室そのものが滅びる、という想像を絶する重圧から逃れられない。そのことがあらかじめ分かりきっている場合、ご結婚のハードルは絶望的に高くならざるをえない。悠仁殿下は苛酷なご生涯を強いられることになる。
そのことを誰よりも深く理解しておられるのは秋篠宮殿下ご本人だろう。ジェンダー平等という理念に加えて、現実面での至難さを考えると、今の「男系の男子」限定という制度を前提とした悠仁殿下のご即位を、既定の事実と認めることに強い違和感を抱えておられても、決して不思議ではあるまい。
秋篠宮殿下のお誕生日の翌日、12月1日は敬宮殿下の21歳のお誕生日だった。全国から多くの祝意が寄せられた。当日公開された敬宮殿下の動画を拝見すると、心が清められるような気持ちになる。