日本の不動産は「3極化」

現在、日本の不動産は「3極化」と呼べる状況にあります。

地方が衰退あるいは消滅に直面している一方、東京をはじめとする大都市圏では、新築マンションが1億円近い価格で飛ぶように売れています。

2023年3月に竣工する「アマンレジデンス東京」は、一般販売しないのですが、300億円近い部屋もあると噂されています。

すなわち、「不動産の価格が維持・上昇する」大都市圏と、「不動産が限りなく無価値・あるいはマイナス」の地方の差がどんどん開いていっているのです。

さらに、その中間には、「なだらかに下落を続ける」地域が存在します。

図表=筆者作成

個人のライフスタイルや働き方によっても、地方移住のメリットデメリットは変わってきますし、なにも一概に地方移住が悪だと言うつもりはありません。

ごみごみした都会を離れて、地方へ移住するほうが生活の質が高まることもあるでしょう。

ただ、日本全体が3極化する中、「限界不動産」をつかんでしまうと、資産形成の面では非常に不利になってしまいます。

「コンパクトシティ」に取り残される地域が危ない

人口減少が続き、経済が低迷から抜け出せない中、地方自治体は財政や人手の面で、これまでの行政サービスを維持できなくなりつつあります。

そうした地方では、昨今取り沙汰されている「コンパクトシティ」化によって、上下水道や道路、橋、医療や介護などのコストを抑える必要に迫られています。

介護が必要な高齢者を狭いエリアに集住させて、少ないお金・人手でもサービスをなんとか維持する方向を模索しているところです。

そうした「コンパクトシティ」化に含まれる不動産であれば、なんとか「なだらかな下落」で踏みとどまり、「無価値あるいはマイナス」化することを避けられるかもしれません。

逆に、現時点では問題なさそうな地域であっても、今後コンパクトシティ化に取り残される自治体・地域も出てくるでしょう。

そうした地域への移住は、慎重に検討する必要があります。