先に親切に指導しておいて、そこから先は不親切にする

計算ドリルを学校で購入したのならば、授業中に使って○つけまで各自で行い、間違えやすいポイントまで教えるのが筋であり、全てを家庭での宿題として出すのは本来的な使い方ではない。

例えば、授業中に次のように語る。

松尾英明『不親切教師のススメ』(さくら社)

今、ドリルであなたが○つけをして間違えていたところが、今日学習した内容の中で、まだ十分に身に付いていないところになります。そして、間違えた問題は人によって違います。あなたが間違えた問題を隣の人はできているかもしれない。逆に、あなたは○だった問題を、隣の人は間違えているということもあります。つまり、人によってもう一度がんばるべき問題は違うのです。

では、この間違えた問題はどうしますか? そうですね。今は赤で×をつけておいて、後でもう一度やるのがいいのです。今は一度答えを見て解き方を覚えたかのように思えますが、忘れるかもしれませんね。少し時間を空けて、家でもう一度やってみましょう。それが今日の宿題です。必要な宿題の内容も量も、人によって違うのです。みんな違う人間なんだから、当たり前ですね。

もう一度やってみて、合っていたらおめでとう、青で○をしましょう。間違えていたら? そう、今度は青で×をつけておきます。その問題は? また時間を空けてやるといいですね。今度は緑など色を変えて○か×。

こうして、自分のやるべき問題が自分でわかり、わかるようになるまで諦めずに何度もやるのが、力のつく勉強の仕方です。漢字の場合でも何でも同じです。自分で自分を育てていきましょう。

実施から○つけまで含めて、全て投げっぱなしにしておいての自力解決では力はつかないということである。ドリルに自分で○つけをするのも、授業中に指導しておいてこそである。先に親切に指導しておいて、そこから先は不親切にする。「教える」と「自力でやる」ということへの移行ステップそのままであり、指導の基本的な型である。

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