低金利が株価を支える環境は変わり始めている

それによって金利は上昇し、企業の資金調達コストは増えるだろう。米国などで株価は追加的に調整する恐れが高い。その後、景気が回復すると需要が伸び、企業は価格転嫁を急ぐはずだ。グローバル化とは反対に、景気が良くなると物価が急ピッチで上昇しやすくなると考えられる。その結果として、金利は一段と上昇しやすくなるだろう。グローバル化によってもたらされた低金利が株価を支える環境は大きく変わり始めていると考えられる。

それに加えて、中国では不動産バブル崩壊などによって4~6月期の景気が失速した。IT先端企業の締め付けも強化されている。いずれも世界の株価にマイナスだ。そうした懸念の高まりによって、決算発表時、孫氏はコストカットを徹底して守りを強化する考えを示していた。

アリババを切り離しても課題は山積み

SBGは財務と出資先企業のリスク管理をさらに強化しなければならない。特に、アリババはSBGにとって最大のリスク要因と考えられていた。SBGはアリババ株を担保にして資金を借り入れ、有望なIT先端企業などに投資してきた。

写真=iStock.com/Robert Way
※写真はイメージです

しかし、アリババの事業運営体制は急速に不安定化し、SBGはアリババ株の一部を売却してでも財務基盤を維持せざるを得なくなった。創業者のジャック・マー氏はフィンテック企業であるアント・グループの支配権を手放す計画だと報じられた。中国共産党政権はアリババへの締め付けをさらに強め、党の意向に沿った事業運営を徹底させようとしている。それはアリババの事業運営の効率性を削ぎ、業績の悪化懸念を高めるだろう。

また、アリババ以外にも過度な成長期待の高まりによってSBGが出資してきた企業が、過剰な人員を抱えている恐れもある。かつてのウィーワークのように、出資先企業のビジネスモデルの問題が顕在化する可能性も否定できない。