数よりも、大事なのは価値軸のアップデート

女性を増やすことも、単に数だけの問題ではなく、価値観や視点を増やすことが大事。重要なのは、価値軸をアップデートすることだと思うんです。

僕の宣言は、すごく小さな投げかけではありますが、そこを考え直すきっかけになればと思っています。最初にブログを書いてから2年近く経ちますが、最近も演劇界でこのブログをツイッターでシェアしてくださっている方がいました。業界によってはまだまだ旧態依然のところもあるので、少しでも波及して、似たような取り組みをする方が増えてくれたらと思います。

「椅子取りゲーム」の時代はもう終わる

「登壇者が男性ばかりのイベントへの登壇をお断りします」という宣言は、男性の僕が席を空けないと、女性が入れない、女性が増えないという気付きがきっかけでした。女性政治家が増えない、企業の女性管理職が増えないことの背景にも、実は似た構図があります。

起業家の若宮和男さん(撮影=プレジデントオンライン編集部)

国会議員の議席数も、企業の中の管理職の数も決まっていますから、女性の比率を増やすためには、男性の誰かに席をどいてもらわないといけない。

ただ、企業に限って言うと、そのロジックは古くなりつつあって、おそらく10年もすれば変わるんじゃないかと思います。

これまでは、「出世」≒「昇進」でした。そして役職の席の数は決まっているので、誰かが席をどかないと新しい人は席に着けない。昇進イコール年収を上げることだったので、“サラリーマン”は「上」を目指して頑張って働いていたわけです。

でも、今は会社で活躍したってなかなか年収は上がりません。椅子取りゲームで頑張る意味が、どんどん薄れてきています。それよりも、起業したり複業したりして、会社の外でも活躍し、他の収入も増やしていく方がいい。「出世」というのは「世に出る」ということで、本来は会社の中で上にいくことだけではないんですよね。

こうした価値観を変えていけるか、というのは、今の僕らの世代、アラフォーの人たちにかかっていると思います。

デジタルネイティブやZ世代は、新しい価値観を持っています。今、アラフォー世代の僕たちが昇進にこだわって「上」に居座ろうとすると、僕たちがボトルネックになって、下の世代の新しいアイデアをつぶしてしまうことになります。

20~30年経ったら、僕たちアラフォー世代の「上」にいる世代が退き、デジタルネイティブ世代が主流になる世代交代が起こります。今、僕らが旧世界の価値観を再生産して次の世代に残してしまうか、価値観を変えて新しい世界を手渡すかによって、20~30年後の世界が大きく変わるように思うのです。発射台の角度が変われば、そこから飛び出す弾の角度も変わり二乗で効いてくるので、弾の飛距離は大きく変わります。