7月、国土交通省が8月に開催する公務員向けのまちづくりに関するオンラインスクールについて、講師25人全員が男性だとしてSNSなどで批判が集まりました。2年前に「今後は登壇者のジェンダーバランスが取れていないイベントへの登壇はしない」と宣言して話題になった、起業家の若宮和男さんは「誰もが評価軸をアップデートすることが必要。特にカギになるのはアラフォー世代だ」といいます――。(第1回/全2回)
起業家の若宮和男さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
起業家の若宮和男さん

実は女性の席を奪っていた

2020年8月に、「今後は登壇者が男性ばかりのイベントへの登壇はお断りします」というブログを書いたのですが、それがちょっとした話題になって、さまざまなメディアからも取材を受けました(僕が「登壇者が男性ばかりのイベント」の登壇を断ることにした理由)。

僕は、女性向けのサービスに特化したITベンチャー「uni’que(ユニック)」の代表を務めていて、新規事業やアートに関するイベントに登壇する機会が多いのですが、ある時、自分がイベントに登壇することで、女性登壇者1人分の席を奪っていたことに気付いたんです。実は自分も、ジェンダーギャップを広げている当事者だったわけです。

この宣言をした時には、何人かの女性から「よく言ってくれた!」と言われました。同じことを女性が言うと、大量の“クソリプ”が飛んできて、ものすごく叩かれるんだそうです。僕の場合は、男性からも女性からも共感のメッセージをもらいましたが、中には「女性に一律にゲタを履かせるんですか」とか「モテたいからそんなことを言ってるんですか」という反応をする男性もありました。発想が浅すぎて悲しいというか、こんな宣言するくらいでモテるわけありませんよね。

なぜ女性の登壇者が「見つけられない」のか

最近は、登壇者のジェンダーの多様性に気を配っている主催者側が増えているように感じます。それでも時々、男性登壇者ばかりのイベントへの登壇依頼をいただくことがあります。その場合は、こちらの方針をお伝えすると、「なるほど、確かにそうですね。企画を練り直します」と言っていただけることも多いんです。

ただ、中には、「探したんですが、女性で適当な方が見つからない」と言われることもあります。

でもそれは、探し方が悪いというか、旧来型の“男性軸”の「大きい、強い、すごいが一番」という判断基準で選ぼうとしているからだと思うんです。それだと、「都心の時価総額が大きい上場企業の人」とか「これまでにも多くの有名セミナーで講演している人」といったところから選んでしまう。結果どこのセミナーでも同じような男性ばかりになるわけです。でも例えば、規模は大きくなくても、とてもユニークな事業を手掛けている経営者や、地方都市から面白いことを仕掛けている女性もたくさん存在します。